ペットと暮らす高齢者のための終活と保険見直しのポイント― 損害保険・生命保険をどう考える? ―
公開日:2026-03-23 00:00
目次
近年、「終活」という言葉が広く浸透し、エンディングノートの作成や身の回りの整理を始める高齢者の方が増えています。
終活とは、人生の終わりを意識するものというよりも、これからの生活を安心して、自分らしく生きるための準備といえるでしょう。
ペットと暮らしている高齢者にとって、終活は特に大切な意味を持ちます。
ペットは家族同然の存在であり、
「もし自分に何かあったら、この子はどうなるのだろう」と不安を感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
ペットと暮らす高齢者の終活では、自分自身の備えと同時に、ペットの将来を考えることが欠かせません。
本コラムでは、
ペットを飼っている高齢者が安心して終活を進めるために、
ペットの将来を見据えた準備と損害保険・生命保険の見直しポイントを
できるだけわかりやすく解説します。
■ペットと暮らす高齢者に終活が必要な理由
高齢になると、病気やケガ・入院・介護といった出来事が身近になります。
短期間の入院であっても、ペットの世話は毎日必要です。
食事や散歩、投薬、通院など、ペットの生活は飼い主が不在でも続きます。
また、万が一のことが起きた場合、
引き取り先が決まっていなければ、ペットが行き場を失ってしまう可能性もあります。
認知症になってしまわないとも限りません。
だからこそ、ペットと暮らす高齢者の終活では、
「自分のこと」だけでなく「ペットのこれから」を考える視点が欠かせません。
■エンディングノートに書いておきたいペットのこと
終活の第一歩として取り組みやすいのが、エンディングノートです。
ペットについては、次のような情報を書いておくと安心です。
□ 性格や注意点
□ 食事の内容や時間
□ 好きなこと、苦手なこと
□ かかりつけの動物病院
□ 持病や投薬の有無
□ 一時的・最終的な預け先(親族・知人や老犬老猫ホーム)の希望
「自分しか知らないこと」を書き残しておくことで、
家族や周囲の人が迷わず行動でき、ペットの生活も守られます。
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■損害保険の見直しポイント
1.個人賠償責任保険
ペットと暮らす場合、とくに確認しておきたいのが個人賠償責任保険です。
これは、日常生活の中で他人にケガをさせたり、物を壊した場合の損害を補償する保険です。
散歩中の事故や、思いがけないトラブルによって、高額な賠償責任が発生することもあります。
<筆者が事故解決に携わった賠償事故事例をご紹介>
公園を散歩中、飼っているワンちゃんがじゃれて歩行者に飛びついてしまい、歯のあたり所が悪く右手首に裂傷を負わせてしまったという事故。
受傷者の職業が毛筆家(細かい手仕事)だったため、一般よりも長期間の休職を余儀なくされ、治療費および慰謝料、休業補償として多額の賠償金を支払うこととなった事例があります。
□ 保険を解約した場合(自動車を手放す際など)、特約が無くなってしまわないか
□ 補償額は十分か(一般的には1億円以上が目安)
□ 示談交渉付きの保険なのか
2.火災保険
ペットの室内飼育が大半の時代、家のなかでの事故への備えが必要です。
・ワンちゃんが突進して建具を壊した
・ネコちゃんがジャンプして液晶テレビにぶつかり、テレビが倒れて破損した
など、「あるある!」ではないでしょうか。
建物や家財の火災保険に
「不測かつ突発的な事故(破損・汚損)」の補償が付いていれば、
このような損害でも保険金が支払われます。
高齢になるほど、
事故後の対応は金銭面だけでなく精神面でも大きな負担になります。
万一に備え、保険でカバーできる部分は整えておくことが安心につながります。
■生命保険の見直しポイント
「もう高齢だから生命保険は必要ない」と考える方もいますが、
ペットと暮らす場合、生命保険はペットの将来を支える手段にもなります。
生命保険の死亡保険金は、
・ペットの飼育費
・医療費
・引き取り手への費用負担
などに充てることができます。
見直しの際は、
□保険金の受取人は誰か(*1)
□受け取った人にペットを託す意思が伝わっているか
□保障額が過不足なく設定されているか
を確認しておくことが大切です。
多くの保険会社が配偶者・1親等(子・親)・2親等(孫・兄弟姉妹)までと規定しています。
3親等以上・親族以外を指定する場合、可能な保険会社でも以下が求められることがあります。
・被保険者本人の明確な同意
・「なぜその人を受取人にするのか」という合理的理由
・保険会社所定の確認書類
■生命保険と税金の基本的な考え方
死亡保険金にかかる税金は、被保険者・保険料負担者・受取人がそれぞれ誰か によって、相続税・所得税・贈与税のいずれか になります。
相続で問題になりやすいのは、
被保険者と保険料負担者が同一 であるケースで、この場合は死亡保険金が相続税の対象となります。
相続人が受け取る死亡保険金 には、
500万円 × 法定相続人の数 までの非課税限度額があります。
一方、相続人以外の人が受け取る死亡保険金には、
この非課税限度額は適用されません。
また、受取人が配偶者または一親等の血族以外の人である場合には、
相続税額が2割加算されることがあります。
ペットのために生命保険を活用する場合は、
受取人を誰にするか と 税金の仕組みをあわせて考えることが重要です。
ペットのためにお金を残す方法には、生命保険のほかに遺贈があります。
遺贈とは、遺言によって特定の人や法人に財産を渡すことです。
ペット自身に遺贈することはできませんが、
世話を引き受けてくれる人にお金を託し、
飼育費や医療費に充ててもらう方法が一般的です。
■ペットと自分、どちらも守る終活を
高齢者に限らず、おひとりさまやおひとりさま予備軍も同様のことがいえるでしょう。
さらに、命あるペットを迎えていいのか?
ペットの終生に責任が持てるのか?をよく考えて迎えてほしいと思います。
★ペットの将来を考える
★エンディングノートで想いを遺す
★保険を見直して万一に備える
ペットと自分、どちらも守る終活を元気なうちに考えることが、最大の安心につながります。
終活は「終わりの準備」ではなく、
大切な存在と穏やかな時間を続けるための準備です。
ペットとともに安心して暮らすために、できるところから少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。
【筆者プロフィール】
岩井 真紀子(いわい まきこ)
株式会社 みらいふ 常務取締役
・笑顔相続道正会員
・京都相続診断士会 副会長
・相続診断士
・終活カウンセラー
・ファイナンシャルプランナー
・損害保険トータルプランナー
【筆者へのお問い合わせ】
株式会社みらいふ
https://www.k-milife.co.jp/


