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急げ!戸籍が廃棄される前に「家系図」を作り、ご先祖に想いを馳せてみよう

公開日:2024-07-29 06:00

目次

皆さんは「家系図」を作成してみよう!と思ったことはありますか?

「自分のルーツを知りたい」「どんなご先祖様がいたんだろう?」そんな気持ちから、「家系図」に興味を持った事がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

筆者も仕事柄、「家系図に興味がある」というお声を時折耳にします。けれど、皆さん、口をそろえて「でも、家系図は専門家に依頼して作るものでしょう?時間やお金に余裕ができてからじゃないと無理だわ。」とおっしゃいます。

そこで今回は

❶実は自分でも家系図を作れる!

❷すぐに家系図を作らなくても、先に戸籍を取得しておくと安心!

というお話しをさせていただきます。

実は自分でも家系図を作れる!

→でも、どうやって作るの?

「家系図」を作成するためには、ご先祖様の情報が載っている戸籍の取得が必要です。

令和6年3月1日から始まった「戸籍証明書等の広域交付制度(※1)」を使えば、最寄りの市区町村窓口に本人から交付請求申請をするだけで、本人の「父母、祖父母などの直系尊属(※2)」の戸籍を「一括で」「まとめて」取得することができます。

筆者は令和4年に、父方、母方それぞれの直系尊属の戸籍をすべて取り寄せ済みです。「戸籍証明書等の広域交付制度」施行前であったため、まずは自分自身の戸籍を取り、筆者の婚姻前の戸籍を取り、父親の戸籍を取り、母親の戸籍を取り、祖父の戸籍を取り、祖母の戸籍をとり、曾祖父の戸籍を取り、曾祖母の戸籍を取り・・・と、一つ一つ遡って取っていきました。こうして手元に届いた古い戸籍を読み解き、家系図を書き出しながら、5世代前(江戸時代後期頃)生まれのご先祖様までを、戸籍上で確認することができました。床の間にかかっている掛け軸のような「家系図」や、巻物のような「家系図」ではありませんが、古い戸籍を読み解いたメモ書きだけでも、十分立派に「家系図」の役割を果たしてくれます。

すぐに家系図を作らなくても、先に戸籍を取得しておくと安心!

→取り寄せられる戸籍はすべて、少しでも早く取り寄せておくことをおすすめします!

なぜ「家系図」作成を急ぐ必要があるのでしょうか?

まずは【戸籍の種類】と【戸籍の保存期間】について簡単に説明します。

戸籍には以下の3つの種類があります。

【戸籍の種類】

❶現在戸籍

現在使われている戸籍

❷除籍

転籍などの届出により、戸籍に記載されている全員が除かれた戸籍、また婚姻や死亡などの届出により、個人がその戸籍から除かれることも除籍という

❸改製原戸籍(かいせいはらこせき、かいせいげんこせき)

戸籍の法改正等があり新しく作り直される前の戸籍

そして、それぞれの戸籍の保存期間は下記の通りとなっています。

【戸籍の保存期間】

❶現在戸籍

保存期間は定められていない

❷除籍

全員が除籍になった年度の翌年から「150年」

❸改製原戸籍

戸籍を改製した年度の翌年から「150年」

【根拠となっている法】

「戸籍法施行規則」

第五条 ④ 除籍簿の保存期間は、当該年度の翌年から百五十年とする。

平成22年改正の「戸籍法施行規則」において保存期間が150年と規定されましたが、それまでの保存期間は80年でした。また改製原戸籍については、種類により50年、80年又は100年とされていました。

このため市区町村によっては、改正前の保存期間を経過した段階で、除籍簿等を順次廃棄していることがあります。つまり今後、除籍等から150年以内の除籍や改製原戸籍の交付を申請しても、既に「廃棄済み」となり取得ができなくなる可能性が出てくることになります。

そして、もし上記のような理由で戸籍の一部が取得できないと、ご先祖様の情報がわからず「家系図」が作成できなくなってしまいます。

これが、「家系図」を作成したい方は、できる限り早めに戸籍の請求・取得をした方が良いとおすすめする理由です。

(市区町村によっては、戦災、大火、震災等で戸籍が焼失しており、請求しても戸籍が取得できない場合もあります)

戸籍収集後、「ルーツを巡る旅」へ出る楽しみも

「家系図」作りをきっかけに「自分のルーツをたどる」という新しいライフワークを始める方も多くいらっしゃるようです。

筆者の場合も、戸籍を確認した後に、「宮崎県西臼杵郡高千穂町」へご先祖様のお墓参りに行きました。

戸籍をたどるなかで自分のご先祖様への関心が増し、特に可愛がってくれた父方の祖母のルーツ「高千穂町」を訪れたくなったからです。筆者の実家は宮崎県都城市ですが、同じ宮崎県内と言えども、都城市から高千穂町は大変遠いため、物心ついてからは、一度も訪れたことがなく、73歳の父が元気に動けるうちに、家族で訪れてみたいと考えたのでした。両親、妹、息子とともに、息子の小学校最後の夏休みを使って「神話の里」とも言われる高千穂町へ3世代で「ルーツを巡る旅」をしてきました。平和な時代に生まれ育っている息子にも、様々な時代を生きたご先祖様を感じて欲しいという想いもありました。

(ここからは、ぜひ下記のイラストを見ながらお読みください)

墓守であった父方の祖母の兄(長男)の子(長男)(父からすると、父のいとこ)は既に他界していましたが、幸いその奥様と娘さん(筆者からすると、はとこ)に会うことができました。住まいの敷地内にある見晴らしの良い場所に建つお墓にも参らせてもらいました。

また近所に住む父方の祖母の兄(長男)の子(三男)(父からすると、父のいとこ)とも会うことができました。その方に、私たちが知らない頃の祖母について尋ねると「小さなことは気にしない、大らかな人だったよ。」という答えがかえってきて、妹とともに「若い頃からそうだったのね」と嬉しい気持ちで頷きあいました。

そして、何よりも驚いたのは、筆者の「はとこ」(墓守の娘さん)のお兄さんが現在、福岡市内にいると知ったことでした。しかも、今年2月に福岡市内で開催され、私も出席した「宮崎県人祭」に出席していたとのこと!同じ空間に親戚が居たんだ!!と不思議で楽しい驚きに包まれた出来事となりました。福岡市内にいる、もう一人の「はとこ」との再会も近そうです。

今回の「ルーツを巡る旅」の途中、息子は山道のドライブで車酔いをしてしまい、お墓参りどころではなくなるなど、美談だけでは終わらない(笑)旅でしたが、息子も心のどこかでご先祖様を感じてくれていたのではないかと思っています。

2泊3日の滞在中は、天候にも恵まれて、美味しい土地のものを沢山味わうことができました。最初は「俺も行くの?」と言っていた父親も(いやいや、あなたが行かないと始まらないでしょう!)、終始嬉しそうな様子で、家族の良い思い出にもなりました。

戸籍収集をして、ご先祖に想いを馳せてみよう

なんとなく「いつまでも役所にありそう」な気がする戸籍ですが、現実では廃棄される可能性があるということに、驚かれた方も多いかと思います。

巻物のような「家系図」の作成まではしなくとも、戸籍の保存期間が経過し、古い戸籍が廃棄され二度と取得ができなくなる前に、少しでも早く取り寄せられる戸籍はすべて取り寄せることをおすすめします。前述の「戸籍証明書等の広域交付制度」を使えば、最寄りの市区町村窓口に交付請求申請をするだけで本人の「父母、祖父母などの直系尊属」の戸籍を「一括で」「まとめて」取得ができるようになったため、戸籍収集は従来よりも簡単になりました。

「戸籍」は、ご家族の歴史がたくさん詰まっている歴史的な「資料」でもあります。来月はお盆がきますね。取得した戸籍を、親族が集まる席で見ながら、ご先祖様に想いを馳せる時間を持っていただけたら嬉しいです。ぜひ、このコラムをお役立てくださいね!

なお、戸籍を取得したけれど、戸籍の内容を読み解けずにお困りの場合は、戸籍の読み解きができる行政書士等の専門家にご相談ください。

(※1)「令和6年3月1日スタート!本籍地以外の市区町村でも戸籍証明書等の取得が可能になりました💡」コラム記事は、こちらからどうぞ

https://egao-souzoku.hanamaru-syukatsu.com/20240422


(※2)直系尊属

父母や祖父母など、自分より前の世代で、血のつながった直系の親族のこと

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中島 美春(なかしま みはる)

笑顔相続サロン®福岡 代表

行政書士

縁ディングノートプランナー

九州・福岡で、あなたの「困った」を「相談してよかった」に変える行政書士・相続コンサルタントとして活動中。縁ディングノートプランナー認定講師としてエンディングノートの普及にも力を入れている。

多くの方に「生前準備」の大切さを伝えるために、Youtubeチャンネル「元気がでる相続⭐️終活チャンネル」を運営中。お役立ち動画をYoutubeにて配信中、ぜひ当コラムとあわせてお役立て下さい。

「戸籍証明書等の広域交付制度」についての、YouTube動画は、こちらからどうぞ

🔗https://youtu.be/ZVuxR-jYj0c


「【使わないのは損!新制度!】「戸籍謄本等の広域交付制度」でできる「簡単終活」とは!?」についての、YouTube動画は、こちらからどうぞ

🔗https://youtu.be/T4AyIDF1xOQ

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