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2つのケースを分けたターニングポイント「障害を持つ人と後見制度」

公開日:2025-03-10 00:00

目次

■ 成年後見制度とは

 「成年後見」という制度を知っていますか?高齢化が進むなか、認知症対策で後見という言葉はよく耳にするようになりました。

 ちなみに、成年後見制度とは、精神上の障害により、物事を正しく認識して評価し、その選択が自分にとって良い選択であるかどうかが自分ではわからない人のために、その人の権利を守るために選任された援助者(成年後見人等)により、本人を法律的に支援する制度です。

成年後見制度を利用する人の中には、認知症の人だけでなく、様々な精神上の障害を持った人がいます

精神上の障害を持つ外来患者数は令和2年において586万1000人となっており、年齢も様々であることが下のグラフからわかります。

 テーブル

AI によって生成されたコンテンツは間違っている可能性があります。

出典:令和6年 厚生労働省作成「成年後見の現状」

  

ここからは、筆者がサポートしてきた複数の後見のケースを参考にして、イメージしやすいように2つのケースを仮定しました。

2つのケースを読んでいただき、障害を持つ人の生活をよりよくしていくために、どのようなことができるかを考える一助になればと思います。

 

■ とある2つのケース


 1) 入院せずに自宅生活ができた、Aさんの場合

 60歳直前のAさん。仕事をしていましたが、定年前に自主退職しました。両親は亡くなって、きょうだいはいますが、全く行き来がありません。

退職金を手にしたAさんですが、家にどんどんものが増えていく様子を見て、市役所の支援員が、これはおかしいと思い、成年後見制度の利用を検討となりました。

Aさんは、服薬で症状をコントロールしていることから、定期的に服薬管理の訪問看護師の訪問と、生活を支援するヘルパーも来ていました。

また、病院も発症から同じ病院に、定期的に通院していました(症状が不安定になり、入院したこともありました。)

法定後見人がついた後も、自宅で長期間一人暮らしをして、障害年金を受給しています。

 

 2) 本人の意思に反して長期入院が必要になったBさんの場合

 60歳直前のBさん。Bさんの両親がBさんの生活を支え、全て両親が対応してきました。Aさんと同じくきょうだいとは全く行き来がありません。

両親が亡くなったことがきっかけで、Bさんに支援者が必要であることが分かりましたが、その時点で、Bさんと関わっている人が全くいない状態でした。

病院にも、数年間通っていないらしい、きょうだいとの行き来は全くないようだ、今どのような生活環境なのかを知る親族もいないという状況でした。

法定後見がつくまで数年かかり、医師からは、病院に入院し長期療養の必要があるとの診断を受けました。障害年金は受給できていません。

 

■ 成年後見制度利用まで

 後見制度の利用も、まずは本人に会うこと、そして医師の診断書がないことには、申立てすることもできません。

後見制度は、その人の権利を守るために、その人自身の権利を制限するものだからです。

Aさんは、これまで長く通っている病院の主治医に診断書をすぐに書いてもらい、申立てることができました。

しかしBさんの場合は、まず本人に会うことすらできません。

これまで、両親以外とかかわりを持っていないため、市役所の介入も、弁護士からの連絡や訪問にも全く応答しませんでした。

これでは、本人のために成年後見制度が必要なのに、そのスタートにつくこともできません。

たまたま、Bさんを保護した警察官が、何度も訪問していた弁護士から聞いていたBさんの名前を憶えていたことから、弁護士に連絡が入りました。

その後、Bさんは入院し、診断書を書いてもらうことができ、後見の申立てができました。

 

■ 成年後見開始後

 Aさんの生活を支援してくれている訪問看護師、ヘルパー、市の相談員と後見人がチームとなって、Aさんの支援行い、その後も担当者が変わりAさんが不安定になっても、それぞれがAさんの気持ちを聞きサポートすることができました。Aさんは、症状も安定しており、サポートを受けながら、1人で生活できています。

 Bさんの場合、あまりに薬を断っている時期が長いことと、両親が亡くなっているので、これまでのBさんの状況がわからないこと、医療的な情報も限られたことから、医師としても、なかなか判断が難しく、長期入院が必要であるとの判断でした。

後見人との意思疎通も難しく、また医師や看護師との関係性もなかなか作ることが難しい状況です。退院の希望はありますが、服薬管理や生活支援の必要があることから、他者が関わることをBさんが受け入れる必要がどうしても必要です。

このことから、すぐに退院して自宅での生活というのは、難しいという状況です。

 

■ 2つのケースを分けたターニングポイント

AさんとBさんの例は、かなり極端に思われるかもしれません。ただ、少なからず、よく似たケースを筆者は実際経験しています。

精神上の障害は、思春期から発症するのものあり、決して先天的なものばかりではありません

この2つのケースを分けたターニングポイントは、一体どこにあったのでしょうか。

きょうだいとの関係だったのでしょうか、それとも発症した際の対応だったのでしょうか、両親の選択だったのでしょうか。

きっとターニングポイントは何度もあり、そのたびに、両親は、切実な思いで選択してきたのだと思います。

ただ、どの後見の場合でも、本人と後見人だけで生活を支えていくことはできません。

医師、看護師、ケアマネジャー、ヘルパーなど多くの人がチームとして支えることが必要です。特に自宅に住みたいという希望がある方は特にチームが必要です。

これから先、その障害と共に長く生きていくことがわかっているとすれば、両親が元気なうちから、きょうだいだけでなく、誰かの支援を受けることを始めておく、誰かと関わることに慣れる、関わる側も、その人の特性を知ることが、将来その人を守る大切なことではないかと、筆者は思っています。

 【筆者プロフィール】

蓮見 倫代(はすみ みちよ)

  • ・笑顔相続道正会員
  • ・相続診断士
  • ・縁ディングノートプランナー

 都内法律事務所で弁護士をサポートする専門職(パラリーガル)として勤務。その経験をもとに、相続における『物』と『想い』の全てを次の世代へ引き継ぐサポートを目指し、エンディングノートの書き方講座開催。相続発生後の銀行の手続きなど相続手続きを得意とし、円滑な相続準備を支援から相続発生後の手続きを迅速かつ丁寧な対応でお客様をサポートしています。

【筆者へのお問い合わせ先】

✉:hasuminhelp@gmail.com