相続×生命保険金5つの特徴
公開日:2023-01-23 06:00
目次
生前ご相談いただき、FP、相続診断士、保険代理店3つの側面から、生命保険を活用して相続の「税に関する悩み」や「財産の分割」についての相続人間のトラブルを未然に防いできた経験から生命保険金の特筆すべき点を5つご紹介します。スムーズに相続を済ませるためにも生命保険を活用して事前の相続対策をお勧めします。
1.生命保険を活用した5つのメリット
生命保険の活用を考えると同時に相続税のおさらいをしていきましょう。税率は財産の大きさによって決められていますが、財産のすべてにかかるわけではなく相続人の人数に合わせて一定の財産を差し引くことができる「基礎控除」あり、そこを上回った部分に税金がかかります。2023年1月現在は相続税の基礎控除は
3,000万円+600万円×法定相続人の数
ですが、この基礎控除は2015年の税制改正前は5,000万円+法定相続人×1,000万円でしたので3,000万円+600万円×法定相続人の数になってからは以前のような富裕層だけの問題でもなくなってきています。すでに亡くなっている私の父がその当時ちょうど5000万円から3000万円になるかもしれないという情報を知り、計算してびっくりしていたことを懐かしく思い出しました。私は父が亡くなる一年前から偶然にも相続の勉強を始めていたため生命保険のさまざまな特性を生かし、納税、代償分割までスムーズに行うことができました。みなさまにも以下の5つの特性を掴み、活用いただくことをお勧めします。
2.生命保険金には非課税枠があります
さて生命保険金は亡くなった方(被相続人)の死亡した後の遺族の生活の安定を図る側面から考慮にて非課税制度が設けられています(相続税法12①五、相続税法15②)ですので生命保険に加入していた場合のみ
3,000万円+600万円×法定相続人の数
+生命保険金500万円×法定相続人の数
となります。この生命保険の死亡保険金は※みなし相続財産として相続税の課税対象と「なりますが、生命保険金500万円×法定相続人の数は非課税枠が設けられています。このように生命保険は相続における優遇や生命保険が持つ特色を生かすことにより相続トラブルを回避ことができます。
※みなし相続財産とは・・・亡くなったことをきっかけに受け取る相続財産。亡くなったことで受け取った生命保険金や勤務先から受け取った死亡退職弔慰金など。税法上では相続財産となり生前に持っていた財産と同様に相続税の対象。
3.生命保険金で受取人の指定ができます
人が亡くなり相続がスタートした段階では遺言がなければ相続財産は相続人全員の共有財産となります。遺言がある場合は遺言に沿って財産が分けられますが、ない場合は相続人全員でどのように分けるが話し合いをおこない、決めていくことになります。ですが生命保険金は受取人の固有の財産として事前に指定された相続人に保険金は振り込まれます。この生命保険金は遺産分割協議が進まない中でも請求することができ、多くの保険会社は書類の不備や受取事由に問題かなければ1週間以内に振り込みが入ります。早い会社では少額であれば3日以内に受け取ることができる会社もあります。遺産分割ができない間は預金を引き出すことは難しくなるため、葬儀関連の支払いなどに役立ちます。
4.生命保険金で納税資金の確保ができます
相続財産は簡単に分割できる現金や有価証券ばかりでなく家や土地など分割しづらい財産も多く含まれます。不動産は相続人複数で受け取ると受け取った相続人が亡くなり次の世代になればなるほど管理も難しくなりますし、相続税は納税までに10か月しか時間がない中で不動産の売却を行うのは大変です。そこで人が亡くなった時にまとまったお金が受取ることができる生命保険を活用し納税や※代償分割を行うことも一考です。いくら支払っていくらもらえるか?数値化できて死亡時に必ずもらえる商品として納税対策に非常に向いています。※代償分割とは複数いる相続人のうち特定の相続人が遺産を受け取る代わりにと特定の相続人が他の相続人に対して一定の代償財産を渡す方法。
5.生命保険金は相続放棄しても受け取れます
相続が起こった際にプラスの財産ばかりでなくマイナスの財産が上回るケースもあります。その際に借金は引きつかずに家のそのままにしたいということは難しく、プラスもマイナスも併せて相続は考えなければいけませんが、生命保険金は※相続放棄をしても受け取るができます。※相続放棄は相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所で手続きをしなければなりません。
6.生命保険は契約形態によって税金が変わります。
生命保険には3者が登場します。
①契約者 ②保険の対象となる被保険者 ③死亡保険の受取人の3者です。
例)A①契約者 夫 ②被保険者 夫 ③死亡受取人 妻とする契約や
B①契約者 子 ②被保険者 父 ③死亡受取人 子という契約形態もできます。Aの場合は相続税ですが Bは子が支払い、父が亡くなった時に子自身が保険金を受け取るため、相続税ではなく一時所得になります。
また①契約者 父 ②被保険者 母 ③死亡受取人 子となると
お金を支払った人と受け取る人が違うため贈与税となります。
相続税対策で生命保険を活用するならば契約者、被保険者ともに本人とし、受取人は相続人とすることをお勧めします。
毎年の贈与を受けた子が契約者となり被保険者を父や母にし、受取人は子とすることにより相続が起きた時に死亡保険金として受取り、納税資金を確保することもできます。
7.まとめ
今回は生命保険の5つの特徴をお伝えさせていただきました。生命保険は亡くなってしまってから加入することはできません。また多くの保険は加入希望の際に現在の健康状態をきかれることが多く、告知内容によっては加入することができなくケースもあります。*告知に必要のない一時払い終身保険を取り扱う保険会社もあり
生命保険を活用して相続をスムーズに行うためには心も身体も健康であり、家族で話しあえる環境があることにより、より円滑に進めることができます。いずれどこかのタイミングで・・・と考えずに早めの対策をお勧めします。
伊藤由美子(いとう ゆみこ)
伊藤保険株式会 代表
くらしFPカフェ株式会社 店主
笑顔相続道正会員
相続診断士、ファイナンシャルプランナーAFP
東愛知新聞相続コラム執筆中
豊橋商工会議所月刊VOICE マネーコラム執筆中
ラジオFMヤシの実「相続ミューズルーム」毎週水曜日16時20分~ オンエア中
保険業界 FP ラジオパーソナリティ 3足わらじでそれぞれ23年。年間50件以上の相続、資産運用系のセミナー講師として活動中。税理士、弁護士、司法書士などさまざまな士業と連携しながら難しい相続用語を使わずに生前から亡くなるまでの相続周辺の諸問題のサポートを行う。
【お問合せ先】
伊藤保険株式会社 くらしFPカフェ株式会社
愛知県豊橋市佐藤5-1-5
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