所有している自宅を売却しながらも、自宅にそのまま住み続けることができるため、
引越しする手間が無く、資金の不安を取り除く方法として注目されています。
筆者は、直近1年間で200件以上のリースバックの相談を受けてきました。
一見、社会的ニーズに合う便利なものに見えますが、メリットだけではありません。
デメリットも多いことに加え、不動産業者の中には利益追求に走り、売主側に不利な交渉や契約を押し進め、倫理に反するようなことをするところもあり、トラブルは増加しています。
ご相談者の中には、いつのまにか住居を失ってしまったという相談者もいました。
トラブルに巻き込まれないためにも、まずは、リースバックとは何か?を理解し、次に、リースバックの特徴とデメリットを確認します。
その上で、実際にリースバックを選択すべき人はどんな人かを特定し、最後は、事例から、リースバック以外の選択肢で問題解決をはかる方法を提案をしていきます。
【目次】
- リースバックとは何か?
- リースバックの特徴、メリット、デメリット
- リースバックのトラブル
- リースバック業者の目的
- リースバックで進めるべき人
- リースバックではない選択肢
- まとめ
1.【リースバックとは何か】
リースバックとは、自宅を売却し、買主に所有権を移転します。
その自宅について売主(前所有者)と買主(新所有者)の間で賃貸借契約を結ぶことで、売主は売却した自宅に住み続けるという方法です。
自宅を売却することで、一時的にまとまったキャッシュが入るので、資金的に不安を抱えた人が検討するケースが増えています。
2.【リースバックの特徴、デメリット】
リースバックの特徴とデメリットは下記の通りです。
<特徴>
- 現在の自宅に住み続けることができる
- まとまったキャッシュが手に入る
- 固定資産税や都市計画税がかからない
- 交渉次第で、買戻し特約をつけることができる
- 売却価格を高く設定すれば、賃料も高くなる
<デメリット>
・賃料の支払いが発生する
・売却価格は市場価格より30%前後安くなる傾向にある
・市場価格より賃料が高くなる可能性がある
・賃貸借契約の内容と不動産業者の意向次第で、ずっと住み続けることができない
リースバックの特徴を理解し、それでもリースバックが本当に必要なのかどうかを確認してください。
実際にどんなトラブルが多いのかを見ていきましょう。
3.【リースバックのトラブル】
トラブル①
市場価格を大幅に下回る価格で売却してしまった。
トラブル②
買主が、当初「売却しない」と約束していたのに売却し、新しいオーナーから賃料の値上げや立ち退きを迫られる。
トラブル③
賃料が高い。買戻しの価格が高い。
4.【リースバック業者の目的】
リースバック不動産の購入者は、大半が不動産業者か投資家です。つまり、安く売却してもらい、高い賃料を支払ってもらうことで収益を増やす投資が目的になります。
このことを頭の片隅に入れておいてください。
5.【リースバックを進めて良い人】
・経済的なデメリットを負ってでも、今の自宅に住み続けたいという強い気持ちをお持ちの人
・将来、買戻したいという気持ちがある人
上記に該当しない方は、リースバック以外の方法を探した方が良いかもしれません。
6.【リースバックではない選択肢】
リースバックではない方法で問題解決できた事例を一つ紹介します。
お一人で暮らしていた60代の女性が、一時的に生活費に困ってしまっているとのことでご相談を受けました。親から相続したご自宅でしたので、住宅ローンなどの担保設定はありませんでした。
リースバックの査定価格は、約1,500万円、通常の売却だと、3,000万円以上で売却できるご自宅でした。築古の戸建住宅だったので、土地が大きく、2区画以上に分割できる土地でしたので、これだけの差額が生まれました。
当然、3,000万円以上で売却をし、当初の想定より高い価格で売却できたので、小さめのマンションに買い替えしました。現在は、新生活を楽しまれています。
上記のように、選択肢をリースバックだけに絞ることは危険です。買い替え、もしくは、引越し先は賃貸物件にして、高く売却して安い物件に引っ越すという方法がありますし、銀行や自治体の融資制度(リバースモーゲージ)を活用することも選択肢となります。
7.【最後に】
リースバックや不動産業者の全てが悪い訳では当然ありません。
リースバックが最善の方法である場合もありますし、誠心誠意対応してくれる不動産業者も必ずいます。困ったときは、信頼のできる専門家を頼ることです。
問題を先送りせず、余裕を持ちながら相談できる専門家を探すことが、最善の選択肢までの近道となるでしょう。
柏原 健太郎(かしわばら けんたろう)
株式会社クレス
NPO法人資産と暮らしの相談センター 理事
笑顔相続道正会員
宅地建物取引士、相続診断士、終活カウンセラー2級、2級ファイナンシャルプランナー
不動産業界19年、ご相談内容によって、弁護士、税理士、司法書士、行政書士などの各専門家と連携しながら、問題を解決していく不動産屋です。相続、離婚、借金の問題に誠心誠意取り組みます。
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