先祖代々の土地と家だから大切に住んでいたのに、突然配偶者との別れが来て、そのまま相続し住んでいたのに一人で住むにも広いからどうしようかと思い始めるのも心の整理がついた相続発生後数年たってからのことではないでしょうか。
一旦相続したものの、今後免許証を返納したらどうやって生活していこうかと思い始めるのは実際に困ってからの事が多いものです。家に住んでいても車があったから、どこに住んでいても関係なかった事も、不自由になると見えてくるものがあります。
さて、子が全て県外に出て住んでいた場合や、子がいない場合など、将来は空き家になる可能性の高い自宅はいったい、いつどうしたらいいのでしょうか。
ところで、誰も住まなくなる家はどうして発生するのでしょう。
- 両親が亡くなったタイミングで直ぐに相続するにも住む人が居ない
- 施設に長期間入っていて既に数年間空き家状態
- 近隣も空き家状態で売却できず
こんな場合は往々にしてあることです。
両親が亡くなり、きょうだいは3人、祖父母、伯夫伯母が健在の場合の相続人の優先順位について考えてみましょう。
下の図は相続関係図を表したものです。
両親が亡くなったあと、まずは遺言書の有無を確認します。
無い場合は相続人が話し合いの上、相続財産の分け方を決めることになります。(遺産分割協議)
今ある現預金、不動産(自宅含めて)を分けることになりますが、不動産は分ける事が難しい財産の一つです。
きょうだいで分ける事になっても一つの土地を共有するとなると売却したい時に、きょうだいの誰かが売りたくないと売却を拒んだ場合、売却する事も出来ず、トラブルの原因にもなりかねないので、不動産の共有はお勧めしません。
例えば、きょうだいの合意があれば、空き家を含めてすべての財産を長男に相続させることもできるのです。空き家の管理で費用が嵩むから全ていいよと言ってくれるきょうだいがいた場合です。
相続の放棄も視野に入れて空き家に関しての検討をしてみる必要があるでしょう。
では、両親が亡くなって実家を相続したのに、誰も住む人が居ない家を相続した場合のデメリットを確認してみましょう。
デメリットとしては
- 不審者がいつの間にか入って住んでいる
- 火災などの不審火に関する災害のトラブル
- 人が住まなくなると家の劣化が進み資産価値が下がる
- 固定資産税など住まなくても税負担が発生する
1.不審者がいつの間にか入って住んでいる
空き家の場合ガラスを割られていつの間にか不審者が住処としている場合もあります。
そうなると不審火の心配もあるため近隣とのトラブルの原因にもなりかねません。
ゴミの投機をされる場合もあるため要注意となります。
2.火災などの不審火に関する災害のトラブル
近くに住んでいないと台風などの災害が起きた場合はすぐに確認に行けず、倒壊などにより第三者に対して損害を与えた場合も直ぐに対応が出来ず、大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。
3.人が住まなくなると家の劣化が進み資産価値が下がる
人が住まなくなると外気が入ることがなくなるため、湿気により急激に家は劣化していきます。
空き家を放置していると資産価値が低下し、売り時を逃してしまう可能性もあります。早めに売却するのか賃貸にするのか決める事をお勧め致します。
4.固定資産税など住まなくても税負担が発生する
空き家を相続する際の資産価値の確認
まずはその空き家の資産価値がどうなのか検討しなければ売却したくても売れなければ、
今後対応の仕方も変わってきます。
立地条件含め、貸家にして場合に入居者がいるのか、メンテナンス費用を掛ける価値があるのかなど検討すべき問題はあります。
不動産や空き家対策の専門家に相談する事をお勧めいたします。
住宅用地にかかる固定資産税は、税負担の軽減のため、「住宅用地の特例」により本来の額より6分の1程度減額されています。しかし、空き家対策特別措置法の「特定空家等」に指定された場合には、固定資産税の減額措置は受けられません。空き家を放置していると、固定資産税が6倍になってしまう可能性もあるということです。
どのような状態の空き家が「特定空き家」に指定されるのでしょうか?
空き家対策特別措置法において、国土交通省が示す基本指針には、特定空き家と判断する基準として、
- 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
その他周辺の生活環境の保全を図るために、放置することが不適切である状態
空き家を貸す場合
空き家を賃貸すれば家賃収入を得ることが出来、人が住むことにより家の劣化するスピードが緩やかになる事が見込める為、メリットの一つとして考えてもいいのではないでしょうか。
しかし、それなりのリフォームをして人が住めるようにする事や、建物や設備機器の管理をどこまで家主が負担するのかなどもしっかりと考えていかないといけません。管理会社に依頼するにも費用が掛かってきます。物件から遠方に居住しているのであれば管理会社に賃貸物件の管理を依頼する必要もあります。空き家を売却するにも賃貸するにも一旦相続しなければ手続きはできないため、登記などの費用は掛かってきます。
空き家を処分する場合
一旦相続してしまった場合は、早急に処分することも視野に入れることが必要です。
過料が課される場合
空き家を管理する義務は所有者にあります。老朽化して倒壊の危険性が発生したり、草木の手入れがされず道路まではみ出している場合などは、所有者は現状を改善する必要があります。
空き家対策措置法では市町村の助言、指導、勧告に従わず、改善が見られなかった場合は最大50万円の科料に処せられる場合があります。
- 空き家を相続放棄
資産価値を調べたら実家を相続したくないと思った場合は相続放棄という方法もあります。
相続放棄をすれば空き家を相続することはありません。しかし、相続放棄は相続発生を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所にて相続放棄の手続きをする必要があります。
空き家を相続放棄するという事は、財産全てを放棄する事となりますので良く確認することと、自分が放棄するという事は、相続人の誰かがその空き家と他の資産も相続するという事になるので、他の相続人とも良く話し合いをしてから決めないと、迷惑をかけることになります。
- 事前の相続対策をすること
所有している財産が不動産の場合、分割しづらい可能性があります。そのため、相続人への分割のしやすさを考えるなら不動産を売却して現金化してしまった方がよいかもしれません。ただし、現金化することにより、譲渡所得税などがかかることがあります。その点も想定することが必要となります。
結婚し、子どもを授かり家族が出来たら責任は発生します。自分の資産をどう家族に受け継いでいけるのかを考えることは、子どもが出来たその瞬間からだと思います。
相続によって争いごとが出ては困ります。子どもたちは、相続により両親の生き様を知る事となるでしょう。自分にもしものことがあったとき、遺された家族に負担をかけないために、元気なうちに行えることはやっておきましょう。
昆 充芳(こん みよし)
笑顔相続サロン®新潟TUNAGUみんなの相続診断士事務所代表
MFC合同会社代表社員
CONEXEED株式会社代表取締役
相続診断士・終活カウンセラー・ファイナンシャルプランナーなどの資格を持ち相続にまつわるお困り事を頼りになる各相続に関する専門士・士業達とチームを組み生前の贈与・遺言書から相続発生までワンストップでトータルにサポートしております。相続に関する相談を誰に頼んだら良いのか判らない時には是非ご相談ください。
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