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自筆証書遺言の落とし穴??

公開日:2022-10-31 06:00

目次

民法が改正され、自筆証書遺言の作成がしやすくなったと言われています。

本当にそうでしょうか?

仕事柄、遺言の相談を受けることが多いのですが、自筆証書遺言はトラブルが多いと感じています。

筆者が自筆証書遺言をオススメしない、気になる点をまとめます。

✅代筆可、パソコン可にはなったが?

平成31年1月13日施行※自筆証書遺言の要件緩和で、
財産目録部分はパソコンで作成あるいは代筆も可能となりました。
財産に不動産が多い方は、全文自筆で正確に書くのはなかなか大変です。
そこで、財産目録をパソコンで作成するか
誰かに代筆してもらえるなら助かると考える方も多い
でしょう。

ただ、ご自身がパソコンは苦手で財産目録が作成できない場合、
皆さんなら誰に代わりに作成してもらいますか?
長男?それとも友人?その場合、財産の内容を全てその人に知られてしまいます。

勿論、それが何の問題もないという方はいいのですが、
長男が財産を知って

「この不動産は誰に渡すつもりなのか?」
「できれば、現預金を多めに欲しい」
など、
分割割合について口を挟んできたり、そのことでもめ事の種になるかもしれません。

それを回避するために専門家に依頼すると報酬がかかります。

中途半端に報酬がかかるのなら
最初から公正証書遺言にしておけば財産の目録以外も全て自筆で書かずにすみます

✅自筆証書遺言の保管制度の落とし穴

令和2年7月10日より自筆証書遺言を法務局で保管するという制度もはじまりました。
自筆証書遺言は紛失や改ざん隠匿などの問題や家庭裁判所での検認が不要になるなど、
かなりいい制度のような気がします。

筆者は遺言者が必ず出頭して保管を申請しなければならないという箇所が気になります。
簡単に言ってしまうと、委任状を書いても代わりに行ってもらえないので
入院中や身体が不自由だったとしても自ら法務局に出向く必要があります。

公正証書遺言の場合は入院中や車いすで外出に制限がある場合でも
公証人が出張をしてくれるので作成可能ですが、

何があっても遺言者自身が出向くとなるとハードルが高い方もいらっしゃると思います。

☆自分に合った方法の選択を!!

このような説明をすると何が何でも自筆証書遺言を否定して公正証書遺言を

勧めていると感じる方もいるでしょう。

どのような制度にもメリット・デメリットがあります。
考え方・立場・状況によってもメリット・デメリットは変わってきます

要は自分にとって何が正しいかどうするのが正解なのかを
正しい情報を取り入れて選択すればいいのではないでしょうか

制度というものは使い方次第だと思います。

メリット・デメリットをきちんと理解しなければ選ぶことも難しいので、
しっかりと制度の内容を精査してご自身にとって一番いいと思える遺言方式を選んでください

参考

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00240.html

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html