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「うちは財産が少ないから大丈夫」はキケン!?――相続税対策よりも大切な“心の相続対策

公開日:2025-07-21 12:00

目次

「うちは財産なんてないから、相続の心配なんていらない」

そうおっしゃる方に、これまで本当にたくさん出会ってきました。

でも、その言葉を聞くたびに私はこう思います。

相続税対策は不要でも、相続対策は誰にでも必要なんですよ」と。

■ 相続税対策と、相続対策は別物です

世間では“相続=お金持ちの問題”というイメージが根強くあります。

でも実は、相続税がかかるのは全体のわずか1割程度。

つまり、9割以上のご家庭には相続税はかからないのです。

だからといって、

「うちは関係ない」とは言い切れません

 なぜなら、相続税対策と相続対策はまったく別のものだからです。


■ 相続対策は「お金の話」だけじゃない

相続対策は、税金を減らすための“数字”の話一方、

相続対策は、“人間関係”や“想い”に関わる、家族の物語です。

  • 「どう分けるのか」
  • 「誰が何を引き継ぐのか」
  • 「それぞれが納得できる形か」

これらはすべて、財産の“額”に関係なく発生する問題です。

むしろ、財産が少ないからこそ「分けられない」「話し合いにくい」ことで、不満やすれ違いが起きやすく、“争族”になることも珍しくありません。


■ 相続の本質は「気持ちの整理」と「感謝の伝達」

相続とは、財産を“残すこと以上に、気持ちを伝えることが大切です。

それはお金では買えない、「ありがとう」や「ごめんね」、

「本当はこう思っていたんだよ」という言葉かもしれません。

“誰に、何を、どう渡したいのか”だけではなく、

“なぜ、そうしたいのか”という想いまで伝えること。

それが、残された家族の心を支える“心の相続”になります。


■ 対策の第一歩は、家族との対話から

相続の準備というと、「まず専門家に相談」と思われる方も多いですが、

本当に大切なのは、家族と想いを共有することです。

  • 「誰に感謝しているか」
  • 「どんな形で家族に想いを遺したいか」
  • 「自分らしい最期とはなにか」


こうしたことを話す時間は、財産目録よりも、時に大切だったりします。


縁ディングノートが心の整理の第一歩

とはいえ、いきなり「相続の話をしよう」と言うのは気が重いかもしれません。

そんなときに寄り添ってくれるのが、縁ディングノートです。

縁ディングノート

日本法令Amazon・各書店にて)

財産のことだけでなく、

譲りたいものリスト」や「感謝を伝えたい人リスト」、

こんなふうに最期を迎えたい」といった希望まで、自分の言葉で自由に書けるのが特徴。

何を書いてもいい、という自由さがあるからこそ、

心の整理も自然と進み、家族との会話も生まれやすくなります


■ 最後に――“縁まん相続は、誰にでもできること

「うちはお金がないから相続の準備なんて…」

そんなふうに考えていた方が、

ノートを書き始めたことで、家族との絆を深めた例はたくさんあります

相続は、お金の問題ではありません。

想いをつなぎ、家族の未来を守る準備」なのです。

どれだけ財産があっても、争いになってしまっては悲しいこと。

でも、たとえ財産が少なくても、想いが伝わっていれば、その相続は「縁まん相続になります。

 

まずは、心の声を言葉にしてみるところから。

今日から始められる“やさしい相続対策”、一緒に考えてみませんか?


【筆者プロフィール】

一橋香織(ひとつばしかおり)


一橋香織

  • 《経歴》
  • 外資系金融機関を経て、ファイナンシャル・プランナーに転身。
  • これまで18年で6,000件以上の相続相談の実績。
  • 自身の家族で争う相続を経験し、相続の大事なゴールは「縁まんな相続」と実感。
  • 「争う相続をなくし、縁まんな相続の実現」を理念とし、日々お客様と対峙している中で節税優位の相続対策ではなく、笑顔で相続が迎えられる相続の実現のための活動を行っている。


  • 《メディア出演》
  • TBSNスタ」「ビビット」
  • テレビ朝日「たけしのTVタックル」
  • TBSテレビ「バイキングmoreなど)多数。