親が昔買った“よく分からない土地”ありませんか? ― 原野商法を「相続財産」の視点から考える ―
公開日:2026-10-26 00:00
目次
先日、遠縁の方からこんな相談がありました。
「親が昔購入した土地を持っているのですが、親の代で何とか整理できないでしょうか?」
詳しく話を聞いてみると、親が昔購入した土地で、現在は利用しておらず、一般的な不動産のように簡単に売却できる土地ではありませんでした。
相談者様が一番心配されていたのは、
「親や自分が亡くなったあと、この土地を子に引き継がせたくない」
ということでした。

令和5年4月27日から始まった相続土地国庫帰属制度は、原則として、相続または相続人への遺贈によって土地の所有権を取得した人が申請できる制度です。
「不要な土地なら国に引き取ってもらえる」と思われることがありますが、この制度は誰でも、どんな土地でも利用できるものではありません。
そのため、土地を売買によって取得した本人が、
「使わないから国に返したい」
「子どもに残したくないから国に引き取ってほしい」
と考えても、その取得経緯だけでは申請資格を満たしません。
子がその土地を相続すれば、相続によって取得したことになるため、申請資格を満たす可能性があります。
しかし今回の相談者が望んでいるのは、「相続してから処分すること」ではなく、「親が元気なうちに整理して、引き継がないこと」でした。
■今回選択したのは「売却」ではなく「業者による引き取り」
そこで、土地の状況や処分方法について調べ、いくつかの可能性を検討しました。
一般市場で買主を探して売却することが難しい土地であったため、今回は通常の「売却」という方法ではなく、条件を確認したうえで、土地の引き取りを行う事業者に引き取ってもらう方向で進めることになりました。
ここで注意したいのは、「業者が引き取ってくれる=土地が売れる」という意味ではないことです。
土地の所在地や状態、権利関係などによって条件は異なり、場合によっては所有者側に費用が発生することもあります。
また、原野商法に関連する土地では「土地を処分してあげる」などと持ちかけ、高額な費用を請求したり、新たな土地の購入につなげたりする二次被害も問題になっています。
そのため、引き取りを依頼する場合にも、
□ 契約内容はどうなっているのか
□ 所有権は確実に移転するのか
□ 登記は誰が行うのか
□ 所有者側にどのような費用が発生するのか
□ 追加費用が発生する可能性はないか
□ 引き取り後、その土地はどう扱われるのか
などを十分確認することが重要です。
「処分できればどこでもいい」と焦って契約するのではなく、契約内容と所有権移転まで確認をして初めて“不動産の整理が完了した”と考える必要があります。

■過去に起きた社会問題が相続にも影響
今回の相談を通じて改めて感じたのは、不動産の相続対策は、
「価値のある不動産をどう遺すか」だけではない
ということです。
親の世代では「将来値上がりする財産」として購入した土地が、何十年もの時間を経て、子の世代には「できれば引き継ぎたくない不動産」になっていることがあります。
そして、こうした土地の背景にあるのが、かつて社会問題となった「原野商法」です
<原野商法とは?>
「将来、この地域に道路ができます」
「リゾート開発が予定されています」
「今買っておけば値上がりします」
このような言葉で山林や原野などの購入を勧め、実際の価値や利用可能性に比べて高額で土地を販売する、いわゆる「原野商法」が過去に社会問題となりました。
購入した当時は、
「将来値上がりしたら売ればいい」
「子に財産として遺せる」
と思っていた土地が、数十年後には、
「子には遺したくない」
「自分の代で何とか整理しておきたい」
という不動産に変わっていることがあります。
だからこそ、原野商法の問題は「昔の消費者被害」としてだけではなく、これからの相続・生前整理の問題としても考える必要があります。
■元気なうちに不動産の棚卸を
不動産は「売る・買う」だけではありません。
著者は大阪府を拠点に、不動産売買仲介や買い取り、不動産コンサルタントとしても、相続不動産や共有不動産、空き家、売却が難しい土地など、さまざまな不動産のご相談をお受けしています。
「親から引き継いだ不動産をどうするか」
「子どもに負担を残したくない」
「使っていない土地を整理したい」
など、それぞれの事情に合わせて、将来を見据えた解決方法を一緒に考えていきます。
宅地建物取引士・相続診断士・生前整理アドバイザーとして、不動産と相続の両面からサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。

【執筆者プロフィール】
草野 弘美
株式会社スタッフインターナショナル

(保有資格)取得順
・宅地建物取引士
・ 生前整理アドバイザー認定上級指導員
・ 相続診断士
・ ベストショットアルバム指導員
・ 縁ディングノートプランナー®
・ 相続終活ラボ会員
・ 縁ディングノートプランニング協会 大阪支部 副支部長
【執筆者へのお問い合わせ先】
・Email:hiromi.k@star.gmobb.jp


