実家じまいは、親子の「今」を大切にするための心の準備 — 不動産を動かす前に、ご先祖様と想いの整理から —
公開日:2026-01-26 00:00
目次
■実家じまいが進まないその理由
実家じまいは、片付けの話であると同時に、心の整理の時間でもあります。
思うように進まないのは、怠けているからではありません。
大切なものがあるから、迷うのです。
だから結論から言うと、
不動産を「売る・売らない」と決めるのは最後で大丈夫。
焦って答えを出さず、親子の「今」を守れる順番で進めていきましょう。
ここで扱うのは相続前の話ですが、この順番は相続後にも役立ちます。

■最初の一歩は「仏壇」と「ご先祖様」から
実家じまいのスタートは、物を捨てることではありません。
まずは、
ご先祖様にどう向き合うか。
仏壇やお墓をどうしていくか。
そこから始めるのがおすすめです。
実務の現場でも
「仏壇をどうするか」
という相談は少なくありません。
地域によっては、
屋敷の中に墓地がある「屋敷墓」など、
家の話とお墓の話が切り離せないケースもあります。
ご先祖様に区切りをつけることは、
残された方の心を落ち着かせ、
次の一歩を踏み出すきっかけになります。

■実家じまいにおすすめの流れ
親子の「今」を守れるおすすめの進め方は、
次の順番が穏やかです。
2)貴重品・権利書など「守るべきもの」
3)写真や手紙など「思い出の品」
4)最後に、不動産をどうするか
すぐに処分すること
相続を確定させること
売る・分ける・名義を変えること
といった「より分け」は、急がなくて大丈夫。
少しずつでいいのです。
■親子だからこそ進まない。
第三者の「調整役」が役に立つ
実家じまいが難しい理由のひとつは、「親子だから」です。
「お母さん、もう使わないでしょ」
——正論でも、親御さんには
「人生を片づけられた」ように響くことがあります。
一方で子ども側も、
気を遣っているのに進まず、イライラして自己嫌悪……
という循環に陥りがちです。
ここで大切なのは、
「人が何を大事にしているかは、その人にしかわからない」
ということ。
たとえば、昔はどこの家にもあったかき氷器。
20年使っていなくても、それが
「家族の誰かと最後に食べたかき氷」
を作った機械かもしれません。
物ではなく、「記憶」そのものなのです。
実家じまいは、合理性だけで進める作業ではありません。
「捨てる・残す」の二択でもない。
親子が後悔しない形で、納得して進められることが大切です。
そのために、必要に応じて第三者の手を借りる。
「ジャッジせずに話を整理する」
「親子の言葉を翻訳して合意をつくる」
——そんな調整役が入ることで、止まっていたものが前に進むことがあります。

■「手放す」ではなく「託す」
実家じまいは、家族の想いのバトンを次の暮らしへつなぐ準備です。
家は「箱」ではなく、想いの器。
手放すときは「処分」ではなく、
「託す」という形で進められたら、
気持ちが少し楽になります。
そして最後に「売る」と決まったなら、
背景や想いも含めて、次に必要とする人へ気持ちよく
引き渡せる形を整えていくことが大切です。
現代では、家族の暮らしも資産も全国に散らばっています。
だからこそ、地域の枠を超えた専門家同士の連携は、
実家じまいをスムーズに進めるための不可欠なインフラにもなっています。

■心の荷物を、一緒に
ひとりで抱えなくて大丈夫です。
実家じまいは、迷いが生まれて当然のテーマ。
頼れる人に頼っていい。
そんなふうに考えてみてください。
もし
「親にどう切り出せない」
「捨てる・残すことで揉めそう」
「順番を整理したい」
「遠方で全体像がつかめない」
などの悩み事があれば、筆者へのご相談も可能です。
心の重荷を、一緒に整理していきましょう。
【筆者プロフィール】
稲場 晃美(いなば てるみ)
不動産・相続コンサルタント
株式会社 高田デザインスタジオ 代表

港区・城西エリアを中心に、実家の相続やおひとり様の相続相談に伴走。
・相続診断士
・ファイナンシャルプランナー
【筆者へのお問い合わせ】
E-mail: tsumugistyle.office@gmail.com
公式サイト:https://www.tsumugistyle.com/


