相続登記って何をするの?流れや必要書類を司法書士がわかりやすく解説
公開日:2025-12-29 00:00
目次
■「相続登記」は必ず行うべき重要手続き
「相続登記とは何をする手続きなのか」
「名義変更をしないとどうなるのか」
相続が発生した方から、このようなご相談を多くいただきます。
相続登記は、不動産を相続した際に必ず行うべき重要な手続きです。
2024年4月からは法律により義務化され、期限内に申請しない場合には10万円以下の過料が科される可能性もあります。
本コラムでは、相続登記の基本から手続きの流れ・必要書類・注意点までを、初めて相続を経験される方にも分かりやすく解説します。
■相続登記とは
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合に、その不動産の名義を相続人へ変更する手続きです。
不動産の名義が亡くなった方のままでは、原則として売却や担保設定ができず、次の相続が発生した際に権利関係が複雑になるおそれがあります。
また、2024年4月以降は、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務付けられています。
■相続登記の流れ
相続登記は、一般的に次のような流れで進みます。

① 相続人の確定
被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)を収集し、誰が相続人かを確定します。
② 不動産の調査
固定資産税資料や登記事項証明書、登記済権利証等を確認し、相続対象となる不動産を把握します。
③ 遺言書の確認・遺産分割協議
遺言書がある場合はその内容に従い、ない場合は相続人全員で遺産分割協議を行います。
④ 登記申請書類の作成・提出
必要書類を整え、法務局へ相続登記を申請します。
■相続登記に必要な書類
相続登記に必要な書類は、相続の状況によって異なりますが、主なものは次のとおりです。
【共通して必要な書類】
※法定相続分で登記する場合も同じです
□ 被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
□ 相続人全員の戸籍謄本(相続開始後に発行されたもの)
□ 被相続人の住民票除票または戸籍の附票(本籍記載のもの)
□ 不動産を取得する方の住民票
□ 固定資産税課税明細書または固定資産評価証明書
□ 登記申請書
【遺産分割協議を行う場合】
□ 遺産分割協議書
□ 相続人全員の印鑑証明書
【遺言書がある場合】
□ 遺言書(公正証書遺言または遺言書情報証明書の場合は検認不要)
※遺言書がある場合、相続関係によって必要な戸籍が少なくなる場合があります。
(例)被相続人が父で、子が相続する場合は、父の死亡がわかる戸籍と子の戸籍のみで足ります。
■実際によくある3つの失敗例
(1)戸籍の収集が不十分で、相続人が確定できず申請が却下されたケース
→戸籍に抜け漏れがあると相続人を確定することができず、法務局は登記を受け付けることができません。
令和6年3月より本籍地ごとに戸籍を請求せずとも、
全国どこの役所でも被相続人のすべての戸籍を取得することができるようになりましたので、有効に活用しましょう。
(2)不動産を共有名義にした結果、次の相続で権利関係が複雑化し、売却や管理が進まなくなったケース
→不動産を共有名義にしてしまうと、売却の際や増改築、建て替え等の大きな変更を加える際に全員で協力する必要があり、一人でも反対する人がいると手続きを進めることができません。
また、共有者に相続が発生することで利害関係者が増え、将来的に権利関係が複雑化してますます動かせなくなってしまうリスクがあります。
(3)遺産分割協議書の記載が不十分で、法務局から補正を求められたケース
→遺産分割協議書に記載する不動産は、少しでも間違えていると法務局が受け付けてくれません。
登記事項証明書を取得し、例えば土地なら所在地、地番、地目、地積を登記事項証明書通りに正確に記載するようにしましょう。
■自分で相続登記を行う場合と司法書士に依頼する場合の比較
相続登記は、ご自身で手続きを行うことも、司法書士に依頼することも可能です。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、状況に応じて選択することが重要です。
【自分で相続登記を行う場合】
費用を抑えられる点が最大のメリットです。
法務局の案内やホームページを参考にしながら、必要書類を集めて申請することができます。
一方で、
• 戸籍収集
• 相続関係の正確な把握
• 遺産分割協議書の作成
• 登記申請書の作成
など、専門知識が必要な場面も多く、書類不備による補正や申請却下が起こることも少なくありません。
特に相続人が多い場合や不動産が複数ある場合には、時間と労力が大きくかかる傾向があります。
最初は自分たちで相続登記を進めていたが、途中で断念して専門家に相談するというケースは、意外に多くあります。
【司法書士に相続登記を依頼する場合】
司法書士にお願いする場合のデメリットとしては、
どうしても費用がかかる点が挙げられます。
一方で、大きなメリットもあります。
戸籍の収集から登記完了まで一連の手続きをまとめて任せることができます。
法務局への申請も代理で行うため、書類不備のリスクを大きく減らすことができます。
また、
• 共有名義を避けた方がよいケース
• 将来の売却や次の相続を見据えた名義の考え方
など、単なる名義変更にとどまらない専門的なアドバイスを受けられる点も大きなメリットです。
費用については司法書士事務所によって異なりますが、下記をご参考ください。
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■相続登記を専門家に相談すべきケース
相続登記は比較的シンプルな手続きと思われがちですが、次のようなケースでは専門家への相談をおすすめします。
• 相続人が多数いる場合
• 相続対象の不動産が複数あり、遠方に点在している場合
• 将来的に不動産の売却を予定している場合
• 高齢の相続人がいて、手続きの負担が大きい場合
これらに当てはまる場合、判断を誤ると将来の相続トラブルや手続きの長期化につながるおそれがあります。
早い段階で専門家に相談することで、結果的に時間や負担を軽減できるケースも多くあります。
■相続登記の後回しは不利益
相続登記は、2024年4月の義務化により、誰にとっても避けて通れない手続きとなりました。
「まだ大丈夫」「そのうちやろう」と後回しにしていると、思わぬ不利益を被る可能性があります。
相続登記を早めに行うことは、単なる法律上の義務を果たすだけでなく、
ご家族が安心して将来を迎えるための大切な準備でもあります。
少しでも不安や迷いがある場合には、早めに専門家へ相談し、
ご自身とご家族にとって最善の形で相続手続きを進めることをおすすめします。

【執筆者プロフィール】
常藤 俊輔(つねふじ しゅんすけ)
常藤司法書士事務所 代表司法書士

分かりやすさと親しみやすさをモットーとしており、土日祝日や遠方の方も対応可能です。
初回相談無料で受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
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