カテゴリー検索

「増やすだけ」で大丈夫?大相続時代に考えるNISAの出口戦略

公開日:2026-04-20 00:00

目次

■資産運用で重要な視点

資産運用というと「どれだけ資産を増やすか」に注目が集まりがちですが、
実際には、築いた資産をどのように引き継ぐかも重要な視点とされています。 

特に近年は、「大相続時代」とも言われるように、
相続の問題は一部の資産家だけでなく、
多くの方にとって身近なテーマとなっています。
 

その中で、NISAを活用して資産形成を行っている方も増えていますが、
増やした後、どう引き継ぐのかという視点まで考えられているケースは多くありません

 

■NISAの特徴 

近年、NISAという言葉を耳にする機会が増えていますが、
その特徴について改めて整理しておきます。 

NISAには、年間投資枠として

成長投資枠:年間 240 万円
つみたて投資枠:年間 120 万円

が設けられており、

生涯での投資上限額は 1,800 万円
(うち成長投資枠は 
1,200 万円まで)となっています。

最大の特徴は、
運用によって得られた利益が非課税になる点です。

通常、投資信託や株式を売却した際には
利益に対して税金がかかりますが、
NISA口座で運用している場合は、
その利益を非課税で受け取ることができます。
 

このように、効率的に資産形成を行える制度として、多くの方に活用されています。

  

■NISAの出口で問題が起きるケース

一方で、こうして積み上げた資産も、
どのように引き継ぐかという視点が抜けてしまうと
思わぬ問題につながることがあります。

 例えば、証券口座の名義人が亡くなった場合、
口座は原則として凍結され、
自由に売買や引き出しを行うことができなくなります

 また、以下のようなケースも少なくありません。 

親が証券口座を保有していることを家族が知らなかった 
認知症により、本人が資産を管理できなくなった 
どの金融機関に資産があるのか把握できていない 

こうした状況では、
手続きに時間がかかったり
家族間でのトラブルにつながる可能性もあります。

 特にNISA口座は、
制度上そのまま引き継ぐことができないため、
事前の理解と準備が重要となります。

 

■証券口座でよくある誤解 

資産運用をされている方の中には、
証券口座の資産は、そのまま家族が使える
と考えている方もいらっしゃいます。

 また、
銀行口座と同じように、必要なときに引き出せる
と思われているケースも見受けられます。

しかし、実際にはそうとは限りません。

例えば、
親またはご自身が認知症で判断能力がなくなった場合、
銀行口座や証券口座は凍結される可能性があります。

その結果、
資産の引き出しや売却が自由に行えなくなるのです。

このような場合、
資産管理は成年後見制度のもと、
後見人が担うことになります。 

後見制度では、本人の財産を守ることが最優先とされるため、
たとえご家族であっても、自由に資産を動かすことが難しくなります

 また、証券口座の存在を家族が把握していない場合、
資産の把握や手続きに時間がかかる可能性もあります。

 

■安心して資産運用を続ける解決策

では、こうしたリスクを防ぐためには、
どのような対策が考えられるのでしょうか。

主なポイントをいくつかご紹介します。

 

認知症対策(家族信託)

家族信託」は
親が元気なうちに財産の管理や運用を
子どもなどの家族に託す仕組みです。

あらかじめ契約を結んでおくことで、
認知症になった場合でも、
契約内容の範囲内で資産管理を継続することが可能
となります。

 

家族サポート付き証券口座の活用

一部の証券会社では、あらかじめ家族を登録しておくことで、
将来のサポート体制を整えられるサービスがあります。

万が一の際に備え、
「誰に託すのか」を事前に決めておくことが重要です。

ただし、これらのサービスは主に手続きのサポートを目的としたものであり、
家族が自由に資産を売買できるものではない点には注意が必要です。

 

任意後見制度の活用

任意後見制度」は
将来、判断能力が低下した場合に備えて、
財産管理を任せる人(親族や専門家)をあらかじめ決めておく制度です。

親族がいない方でも活用できる点が特徴です。

 

家族との情報共有

証券口座の有無や金融機関・資産の概要については、
必ずご家族と共有しておくことが大切です。

情報が共有されていない場合、手続きが進まず、
結果として資産の把握や引き継ぎに時間がかかる可能性があります。

また、長期間利用されていない口座については、
手続きが複雑になるケースもあるため、定期的な確認も重要です。

 

■元気なうちに出口の設計を

 大相続時代において、NISAを活用した資産形成はますます広がっています。

 しかし、「増やすこと」だけでなく、
「どのように引き継ぐか」という視点もあわせて考えることが重要です。

元気なうちに準備をしておくことで
ご自身の想いを形にし大切なご家族へ円滑に資産を引き継ぐことができます

 今一度、ご自身の資産について
出口まで見据えた設計ができているかを見直してみてはいかがでしょうか。

 必要に応じて、専門家に相談しながら進めることも有効な選択肢のひとつです。


  


【執筆者プロフィール】

前川瑠那(まえかわるな)

縁ディングノートプランナー®
証券外務員一種/内部管理責任者/ライフアドバイザー


「夢をあきらめないためのお金の専門家」



平成11年生まれ。大阪音楽大学卒業。
テーマパークのエンターテイナーとして活動後、
突然の環境変化と収入不安を経験。

10万円の生活の中で将来に不安を感じる中、
「お金に働いてもらう仕組み」と出会い人生が変わる。

自身の経験から、
資産形成・運用・相続対策を通じて
「人生の選択肢を広げるお金の知識」を届けている。


【筆者へのお問い合わせ】
株式会社 フューチャー・クリエイション

〒550-0002
大阪府大阪市西区江戸堀1丁目10-2
肥後橋ニッタイビル8F

TEL050-8886-0088
E-mailr.maekawa@f-cre.com
HP:
https://f-cre.com/