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憲法記念日に考えた、相続のかたち 〜「家を継ぐ相続」から「思いをつなぐ相続」へ〜

公開日:2026-05-04 00:00

目次

■実は深い、「憲法記念日」と「相続」

みなさん、GWはいかが過ごされましたか?

連休の中にある53日は、憲法記念日です。
憲法記念日と聞くと、国の仕組みや法律の話のように感じる方も多いかもしれません。

けれど、憲法の考え方は、私たちの暮らしや家族のあり方、そして相続にも深く関係しています

憲法記念日に、ふと考えたことがあります。
それは、相続のかたちが大きく変わってきたということです。

戦前の日本には、いわゆる「家督相続」という制度がありました。

今の相続のように、きょうだいがそれぞれ相続分を持ち、財産を分け合うという考え方ではなく、
基本にあったのは「家を継ぐ」という考え方です。

戸主となる人は、家を守り、家を継ぎ、隠居した親や、家に属する家族を支える役割を担っていました。

つまり、家産や財産を引き継ぐ代わりに、そこには大きな責任もあったのです。

財産だけを受け取るのではなく、

親を養う
家を守る
先祖の供養をする
お墓を守る
家に連なる人たちの暮らしを支える

そうした役割と責任が一体となっていた時代でした。

もちろん、昔がすべて良かったということではありません。
家制度の中には、個人の自由や平等という面から見れば、今の価値観とは合わない部分も多くありました。

だからこそ戦後、日本国憲法のもとで、個人の尊重や平等の考え方が広がり、相続制度も大きく変わっていきました。


■現代の相続制度による心の変化と現状

現在の相続では、長男だからすべてを引き継ぐ、家を継ぐ人だから当然に多く受け取る、という制度ではありません。
きょうだいは、原則として平等に相続権を持ちます。

これは、とても大切な変化です。

けれど一方で、相続の現場では、こんな声を耳にすることがあります。

親の介護をしてきたのは自分なのに
実家を守ってきたのは自分なのに
お墓や仏壇を引き継ぐのは自分なのに
何もしてこなかったきょうだいと同じように分けるのは納得できない

法律上の平等と、家族の中で感じる公平感は、必ずしも同じではありません。

さらに、核家族化が進み、親と子、きょうだい同士の距離も昔とは大きく変わりました。

一緒に暮らしていない
親の暮らしぶりを知らない
誰がどれだけ親を支えてきたのかも見えにくい

そうなると、本来は同じ親から生まれたきょうだいであっても、
相続の場面では、親の財産を分け合う相手。
もっと言えば、権利を主張し合う相手のようになってしまうことがあります。

ここに、現代の「争族」の難しさがあります。

法律はもちろん大切です。
相続において、法律のルールを無視することはできません。

けれど、法律だけで家族の思いがすべて整理できるわけではありません。

親を支えてきた時間
家を守ってきた思い
先祖を大切にしてきた気持ち
これからお墓や供養をどうしていくのか
家族として何を大切にしてきたのか

そうしたものは、法律の条文だけでは十分に伝わりません。


■現代の相続対策に欠かせないアイテム

だからこそ、元気なうちに「自分の思い」を言葉にしておくことが大切です。

そのアイテムのひとつが、「ディングノート」です。

縁ディングノートは、単なる財産メモではありません。
財産を誰にどう遺すかだけを書くものでもありません。

自分がどんな人生を歩んできたのか
誰に感謝しているのか
何を大切にしてきたのか
先祖や家について、どのように考えているのか
残される人たちに、どんな思いを受け取ってほしいのか

そうした価値観を伝えるための、大切なアイテムです。

相続で本当に難しいのは、財産の多い少ないだけではありません。
家族それぞれが持っている価値観の違いです。

「平等に分けるべき」と考える人。
「親の面倒を見た人に配慮すべき」と考える人。
「家やお墓を守る人の負担も考えてほしい」と思う人。
「法律どおりが一番公平」と考える人。

どれも、その人にとっては理由のある考え方です。
だからこそ、亡くなったあとに残された人たちだけで答えを出そうとすると、感情がぶつかりやすくなります。

大切なのは、財産を遺す人自身が、元気なうちに自分の考えを伝えておくことです。

なぜ、そうしたいのか。
誰に、何を託したいのか。
家やお墓、先祖とのつながりをどう考えているのか。

その思いがあるだけで、相続は単なる権利の取り合いではなくなります。

今、ここにある命は、突然生まれたものではありません。
親がいて、祖父母がいて、その先のご先祖さまがいて、誰かが家を守り、命をつないできたからこそ、今の自分があります


縁ディングノート 終活・相続の便利帳

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■命をつなぐ相続へ

憲法記念日は、国のかたちを考える日です。
そして同時に、家族のかたち、相続のかたちを見つめ直すきっかけにもなるのではないでしょうか。

法律は大切です。
けれど、法律にがんじがらめになるのではなく、そこに家族の思いや役割、感謝をどう重ねていくか

「権利」だけではなく、
感謝」や「役割」や「つながり」にも目を向けること。

それが、これからの相続や終活に必要な視点だと思います。

この連休をきっかけに、ぜひ一度、ご自身の家族の歴史や、ご先祖さまから受け継いできたものに思いを馳せてみてください。

相続は、財産を分ける手続きである前に、
命と思いを、次の世代へつなぐ営みなのです


【筆者プロフィール】

一橋香織(ひとつばしかおり)

相続コンサルタント


     

    • 《経歴》
    • 外資系金融機関を経て、ファイナンシャル・プランナーに転身。
    • これまで19年で7,000件以上の相続相談の実績。
    • 自身の家族で争う相続を経験し、相続の大事なゴールは「縁まんな相続」と実感。
    • 「争う相続をなくし、縁まんな相続の実現」を理念とし、日々お客様と対峙している中で節税優位の相続対策ではなく、笑顔で相続が迎えられる相続の実現のための活動を行っている。



    • 《メディア出演》
    • TBSNスタ」「ビビット」
    • テレビ朝日「たけしのTVタックル」
    • TBSテレビ「バイキングmoreなど)多数。