大切な家族亡くして感じた縁ディングノートの必要性
公開日:2025-10-20 00:00
目次
■ 突然の別れ
夫が突然亡くなってから2年、悲しむ間もなく、様々な手続きに追われ大変な思いをした筆者が気づいた、縁ディングノートの大切さについてお話しさせていただきます。
■ 手続きや手配に追われて・・夫の想いは?
人が亡くなったあとの手続きは思った以上にたくさんあります。
① 葬儀社の決定、見積もり、各手配、親戚や知人への連絡
② 役所の手続き・・・埋葬許可証、除籍、世帯主変更、年金、健康保険等、加えて配偶者としての手続き、窓口は全て別々、各書類は期日までに提出が必要
③ 相続手続きに必要な書類の取得・・・戸籍謄本(出生から亡くなるまで)住民票除票、印鑑証明など複数枚
相続コンサルタントの会社を経営していた夫は、生命力にあふれ、体力にも自信があり、まさか自分が・・と思っていたでしょう。
親の心配ばかりで、夫婦の老後は後回し、夫のことや想いはほとんど聞けていませんでした。
■ 突然死で困ったこと
配偶者を亡くした際、精神的負担がとても大きいなか、実務を行わなければなりません。
① 相手の財産がどこにあるかわからない
② ネット証券、ネット銀行の存在を知らなかった
③ 負債や保証債務があるかどうかわからない
④ 情報整理に時間がかかる
など、配偶者の負担はとても大きいのです。
我が家も実際に困ったことがたくさんありました。
携帯を見ることができなかったため、友人・知人へ葬儀の連絡ができず、SNSを通じて連絡できた方からほかの方に連絡をしていただきました。
また、SNS、ネットショッピング、サブスク、マイページ関連など、すべてを把握できず、IDやパスワードもわからないため、退会や解約の手続きが困難で、解約できないままのものもあります。
カスタマーサービスへの連絡はメールが主流、登録したアドレスが不明だとさらに困難度は上がります。
個人情報保護の壁が高く、遺族でも解約や退会申請はすぐにできず、書類の提出を求められたり手間がかかります。
■ 相続の手続き
四十九日を過ぎ、相続手続きの準備に入りました。
相続申告は亡くなってから10ヵ月以内です。
相続税がかからなくても配偶者の特別控除や小規模宅地等の特例等を受ける場合は申告が必要です。
まずは銀行口座やそのほかの財産(保険、証券など)、ローンなどの負債、全てを洗い出す作業が必要です。
見てもわからない書類や見つからない書類に悪戦苦闘の日々・・・
一般的にネット銀行などのデジタル遺産は、情報が無いとその存在すら知ることもできません。
そのような場合、知らないまま遺産は最終的には国庫に帰属されてしまいます。
■ 決して他人事ではない
もっと早く夫婦で話しておけばよかったと後悔しても時間は戻せません。
配偶者の場合、身内には相談しにくい事があると、ひとりで抱え込んでしまいがちです。
成人した子どもがいれば頼りにはなりますが、妻と子の想いが微妙に違うと、もめごとの火種になりかねません。
我が家はそのようなことはありませんでしたが、自分の想いだけを押し通すと今後の家族関係に影響が出てしまうかもしれないので注意が必要です。
■ 縁ディングノートとの出会い
我が家にも縁ディングノートがありましたが、そこには何も書かれていませんでした。
落ち着いたころ、真新な縁ディングノートを1ページずつめくると、私たちが困ったことすべてがそこに書けるようになっていました。
もし夫が書いていてくれていたら、手続きをスムーズに進めることができ、夫の想いを叶えられたのだと思いました。
まさに縁ディングノートの必要性を知った瞬間でした。
■ 相続コンサルタントの目線で
現在、自身の経験からの縁ディングノートの必要性についてセミナーや相談会、個別相談で積極的にお話ししています。
ただ、せっかく書いても、箪笥にしまい込み、誰にも見つけてもらえなければ、もしもの時に効力を発揮できません。
特に高齢の方やおひとり様など、頼れる人が近くにいない場合はサポートをしてくれる人が必要であり、それが相続コンサルタントの立ち位置だと考えています。
また、縁ディングノートを書いていくうち、思ってもいなかった相続の問題に気づき、相続コンサルタントが各専門家と連携をしながら解決することができます。
■ 最後に欲
夫の会社を引き継ぎ、相続の仕事に出会えたことで、自分の不幸を嘆いていた日々からこの経験で人の役に立ちたいと思うようになりました。
もし最後に言葉は交わせなくても、縁ディングノートに
「ありがとう」と書いてあれば、ご遺族の悲しみは救われるかもしれません。
「みんな仲良くしてね」とあれば、家族間の無駄な争いが減るかもしれません。
そのために縁ディングノートは最強のツールになってくれます。
みんなが笑顔で相続ができるよう、同じ思いする人を少しでも減らすため、これからも精進して参ります。
【筆者プロフィール】
谷口江利子(たにぐち えりこ)
相続コンサルタント
株式会社 谷口総合相続事務所 代表
・一般社団法人 縁ディングノートプランナー協会 事務局
・笑顔相続道@正会員
・相続診断士
・福祉住環境コーディネーター2級
【筆者へのお問い合わせ先】
株式会社 谷口総合相続事務所
電話:070-7571-4389
E-mail::taniguchi@ts-souzoku.co.jp