公正証書遺言がもっと身近に。2025年10月からデジタル化スタート!
公開日:2025-10-13 00:00
目次
■ 公正証書遺言作成のために公証役場へ向かう必要がなくなります
「遺言は残したいけれど、どんな形で作ればいいの?」
そんな疑問に答える一つの方法が公正証書遺言です。
公証人という“公の専門家”に作成してもらう遺言で、
効力が強く、後のトラブルを防ぎやすいのが特徴です。
これまでは、公証役場へ出向いて紙で作成するのが当たり前でした。
しかし2025年10月からは、
この公正証書遺言の作成手続きが順次デジタル化されることになりました。
■ 公正証書遺言とは?
公正証書遺言は、本人が公証人に希望内容を伝え、それを文書にして残すものです。
□ 公証人が関与するので、形式の不備で無効になるリスクが少ない
□ 原本が公証役場に保管されるので、紛失や改ざんの心配が少ない
□ 相続開始後、スムーズに手続きが進む
こうした理由から、確実に意思を残したい方には最も安心できる方法のひとつです。
■ 2025年10月からどう変わるの?
デジタル化によって、公正証書遺言の作成手続きは次のように変わります。
🌸インターネットで申し込み可能に
これまで役場に行って依頼していたものが、パソコンからメールなどで嘱託(申込み)できるようになります。
☑リモートでの作成が可能に
条件を満たせば、公証人と本人がパソコン画面を通じてやり取りし、遺言内容を確認・作成することができます。
外出が難しい方にとって大きな助けになります。
☑原則、電子データで作成・保存
遺言の原本は電子データとして保管されます。
本人は【電子署名】をすればよく、印鑑は不要です。
受け取り方法は「紙」「電子データ」「USB」から選べます。
■ リモート作成の条件
リモート方式を利用できるのは、次の条件が整った場合です。
〇嘱託人*又は代理人によるリモート方式利用の申出があること
〇嘱託人・代理人のリモート参加について、他の嘱託人に異議がないこと
〇公証人が嘱託人・代理人のリモート参加を相当と認めること
〇スマホやタブレットでは不可
((*嘱託人(しょくたくにん)とは、公証役場で証書などの作成を依頼する人))
パソコンに加えて、電子ペンとタッチ画面、またはペンタブレットが必要です。
また、相当か否かは、
リモート参加の必要性・許容性(リモートでの本人確認、真意の確認、判断能力の確認のしやすさ等)を総合的に考慮して判断されます。
■ 紙での作成が必要なケース
すべての遺言が電子化できるわけではありません。
たとえば、法律上「紙でなければならない」と定められている類型や、
添付資料のデジタル化ができない場合は従来どおり紙で作ります。
■ 費用も一部見直し
デジタル化に伴い、手数料も変わります。
☑ 電子データの交付は1通 2,500円
☑ 紙での交付は1枚 300円
また、遺言以外の契約に関しては、
養育費の算定方法や死後事務委任契約の費用が見直されるなど、
全体的に利用者の負担軽減が進められています。
■ まとめ
公正証書遺言は「自分の思いを確実に未来へ残す」ための最も安心な手段のひとつです。
2025年10月から始まるデジタル化によって、
これまで「役場に行くのが大変」「印鑑や紙の準備が面倒」と感じていた方にもチャンスが広がります。
ただし、リモート利用にはパソコンや電子ペンなどの環境整備が必要ですし、紙での作成が適しているケースも残ります。
大切なのは、自分や家族に合った方法を選ぶこと。
縁ディングノートに「どんな遺言を残したいか」「受け取り方法はどうするか」を書いておくと、将来の迷いを減らせます。
ぜひ今のうちから準備を始めてみてください。
公正証書デジタル化についての詳細は以下のサイトをご覧ください。
【参考サイト】
日本公証人連合会「公正証書作成手続のデジタル化」リーフレット
https://www.koshonin.gr.jp/images/7aaee7fb5b3de582f4a87b5179dd478d.pdf
日本公証人連合会トップページ
https://www.koshonin.gr.jp/
【筆者プロフィール】
一橋香織(ひとつばしかおり)
- 笑顔相続コンサルティング株式会社
- 代表取締役 笑顔相続サロン®本部 代表
- 一般社団法人縁ディングノートプランニング協会 代表理事
- 一般社団法人アクセス相続センター 理事
- 《経歴》
- 外資系金融機関を経て、ファイナンシャル・プランナーに転身。
- これまで18年で6,000件以上の相続相談の実績。
- 自身の家族で争う相続を経験し、相続の大事なゴールは「縁まんな相続」と実感。
- 「争う相続をなくし、縁まんな相続の実現」を理念とし、日々お客様と対峙している中で節税優位の相続対策ではなく、笑顔で相続が迎えられる相続の実現のための活動を行っている。
- 《メディア出演》
- TBS「Nスタ」「ビビット」
- テレビ朝日「たけしのTVタックル」
- TBSテレビ「バイキングmoreなど)多数。
- 《著書》
- 家族に迷惑をかけたくなければ相続の準備は今すぐしなさい(PHP)
- 終活・相続の便利帖(日本法令)
- はじめての遺言執行(日本法令)共著 その他、日本法令で共著11冊
- 【筆者への問い合わせ】
- 〒104-0061
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