カテゴリー検索

男性8.5年・女性11.5年─介護が必要になる“そのときに備える” 「支援の存在」

公開日:2025-05-12 00:00

目次

■ 終活するなら、健康で元気、目指すは「PYKP

健康で活動的、若々しく、自分の足で歩き、身の回りのことを自分でこなし、自宅でパタリと最期を迎えたいと願っている方々が、エンディングノートセミナーにお越しになります。亡くなり方の表現として、「ピンピンコロリ」という表現がありますが、私の母(74歳)は、ピンピン・ヨタヨタ・キラっと・パタリ(略して【PYKP】と最後を迎えたいそうです。

相続コンサルタントとして、各種セミナー(縁ディングノートセミナー、終活・相続)や個別カウンセリングを通じて、相談者の声を伺うなかで、写真整理や片付け、エンディングノートの記入、遺言書の作成など、相続を見据えた準備には、心身の健康・元気があってこそできるものだと身に染みて気づかされます。


■ 社会課題:おひとりさま世帯の増加と要介護化の増加

核家族化社会が進む中で、65歳以上の世帯では80%を超える世帯が単独世帯いわゆる「おひとりさま」、そして今後「おひとりさま」となる「おひとりさま予備軍

です。(図1:参照)

1:厚生労働省「2023(令和5)年国民生活基礎調査」より抜粋


単独世帯、単独予備軍世帯の増加で、高齢者の転倒事故による「要介護化」が社会的課題となっています。

長生きではありますが、平均寿命と健康寿命の差をみると、男性8.5年女性11.5となっており、他者に頼りながら余生を送る、すなわち介護が必要となる期間が、寿命を迎えるまでに長くあるのが現状です。

厚生労働省の令和4年度の国民健康生活基本調査(下記、図2を参照)によると、65才以上の方の介護が必要となった主な原因として、認知症、脳血管疾患(脳卒中)に続き、「骨折・転倒」が13.9%を占め、「骨折・転倒」は3番目に多い原因となっています。65才以上の「転倒・転落・墜落」による死亡は、「交通事故」と比較すると約5倍です。


2:厚生労働省「2022(令和4)年国民生活基礎調査」より抜粋


2にもあるように介護となる原因の第一位は認知症です。

65歳以上の認知症患者の推定者と推定有病率をみると、2022443.2万人、2025年は約471万人、2060年までの推計値をみると増加傾向であることが推定されています。(下記、図3を参照)

3出典:内閣府「令和6年版高齢者白書」より抜粋

■ 社会課題:フレイル(虚弱)の抑制

「フレイル(虚弱)」という表現を耳にする機会が増えてきています。

多くの場合、加齢とともに緩やかに生活自立度(≒健康状態)が下がっていきます。「フレイル(虚弱(Frailty))」は、加齢に伴って進む心身機能の低下が顕著に進む状態を言います。

具体的には、体重減少、筋力の低下、疲労感、歩行速度の低下、活動量の低下、認知機能の低下、気分の落ち込み、社会的孤立などによって、転倒やうつ、認知症などのリスクが高まった状態を示します。各種データからも「フレイル(虚弱)」状態が高まると介護状態となるリスクも高まることが分ります。

筆者は保険募集人でもあり、万一の介護リスクに備えるために、「保険」での準備をご案内していますが、「保険」で十分に介護リスクを備えようと思うと生涯支払う保険料の総額が加入する年齢にっては、非常に大きな負担となります。

「保険」での備えはあくまでもお守りとして考え、「フレイル(虚弱)」状態とならないために日常生活の習慣を見直していくことで生活の質も向上し、心身の安定にもつながるのではと考え、生活習慣の見直し方のご相談にも対応しています。


■ 健康・相続もスタートは「現状を見える化」

ファイナンシャルプランナー、相続コンサルタントとして、終活や相続、資産形成、保険の見直しに関するご相談で大切なのは、現状の正確な確認、つまり現状の「見える化」です。

「健康」も同じ。自分の身体の状態、生活習慣の現状を「見える化」し、認識することからスタートです。

ライフプラン・相続・健康と相談の内容は異なっていても、漠然とした不安を感じているときは、「何かしら改善した方がいいとは思うけど、どこを改善したらいいか分からない」という状態の方が多く見受けられます。

情報はいくらでもあふれていて、手段・やり方も無数にあります。メディアやSNS、雑誌などから情報をかき集めて「これなら」と思うやり方を試してみても、しっくりこなくて続かず、途中で挫折や失敗をし、結局のところ漠然とした不安の解消につながらなかった・・という経験をお持ちの方は多くいらっしゃいます。

何かしらの改善が必要だとしても、どこを改善すればいいのかは、お一人お一人家族構成も、環境も、収入も生活習慣もすべて異なります。

つまり現状の状態に至った今の自分の身体(健康状態)を作ってきた生活習慣はそれぞれみんな違うということ。

どんな不安もまずは、今の状態を作ってきた現在地点の確認、お一人お一人の現状把握をできるだけ正確に行うことが不安解消の一丁目一番地です。

終活準備の現在時点の確認には、エンディングノート

健康管理の現在地点の確認には、ウェルネスチェック

エンディングノートの書き方も健康管理も自己流でできますが、現在地点・現状把握のやり方には「コツ」「ノウハウ」があります

そして改善や見直しをするには、「情報」と「知識」が必要です。改善と見直しを実行に移すには、「専門家の人脈」があるとスムーズです。

専門的な知識をもってあなたと一緒に伴走してくれる専門家・コーチがいると具体的な行動を伴うことで、漠然とした不安を前向きな行動とやる気に変化させていくことができます。

 

■ 行政がカバーできないところを個々に合わせてサポート

おひとりさま世帯の増加や要介護化の増加といった社会問題においては、これまで身内や家族が担ってきた役割を、誰かが代わって担うことが求められます。

行政にもその役割が期待され、仕組みも整えられていますが、地域全体を一定のルールで運用せざるを得ないため、なかなかお一人お一人の心身の健康状態を把握し、きめ細やかに対応していくには限界があります。

私のようなコンサルタント、コーチの役割は、行政でカバーしきれない個々の状況に応じた健康プラン終活・相続準備の全体像の把握をし、一緒に目的地を設定し伴走することです。

これまでは家族や地域で担ってきた役割をコンサルタント、コーチに頼るという選択肢もあるということを広げていきたいです。


【筆者プロフィール】

大北 あかり(おおきた あかり)

健康に生きる、年金が好きな保険屋さん/ファイナンシャルプランナー/相続コンサルタント/ウェルネスコーチ

健康とお金(ライフプラン)の相談、相続・死後についてのお悩み相談に対応。ヒアリングからの現状把握を大切にし、難しい専門用語を使わずに、図やイラストを使って現状を見える化することで相談者さんと課題を共有しながらコンサルティングを行っています。

  • (保有資格)
  • AFP ®  ・公的保険アドバイザー ®  ・相続診断士 ®  ・損害保険トータルプランナー ®  ・損害保険募集人・生命保険募集人・縁ディングノートプランナー・笑顔相続道®正会員