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「付言事項(ふげんじこう)」ってご存じですか? 〜遺言に“気持ち”を添えて、家族に安心を残すために〜

公開日:2025-05-05 00:00

目次

■ 付言事項とは?

1.そもそも「付言事項」って何?

付言事項(ふげんじこう)という言葉を初めて聞いたという方も多いかもしれません。
これは、遺言書の中で「財産をどう分けるか」といった法的な内容とは別に、家族への想いや理由を書き添える部分のことです。

 

2. 法律の効力はないけれど、大切な意味があります

付言事項に法的な強制力はありませんが、なぜこのような相続にしたのかを家族に伝えることで、納得や安心を生むことができます
つまり、親から家族への手紙のような役割を持つ、とても大事な一文です。

 

■ どんなことが書けるの?

介護への感謝を伝える一例
実際には、こんなふうに書くことができます。

このような一言があるだけで、「なぜこの配分なのか」が伝わり、家族の気持ちのすれ違いを防ぐことにつながります。


■ 付言事項がもたらす3つの効果

① 相続トラブルの予防

たとえば、長男に家を、次男に預金をと分けたときに理由が書かれていないと、「なぜ兄ばかり」と不満が出ることがあります。
けれど、その背景にある親の想いが伝われば、納得されるケースは多くあります

② 感謝の気持ちを伝える

ふだん言えなかった「ありがとう」や「お疲れさま」の気持ちを、自然に伝えることができます
特に、介護をしてくれた子ども、心配をかけた配偶者への一言は、深く心に残るものになります。

③ 家族の絆をつなぐ

「きょうだいで仲良く助け合って」「お母さんをよろしくね」
そんな一言があるだけで、遺言書が争いのもとではなく絆をつなぐ橋になります。

 

■ 付言事項を書くときの注意点

1. 思いやりのある言葉選びを

付言事項は自由に書けますが、感情的な表現や誰かを責めるような内容は避けましょう
言葉のトーンはやさしく、「ありがとう」「お願いします」「仲良くしてね」など、前向きな表現がお勧めです。

 

2. 専門家と一緒に考えるのもおすすめ

内容に迷うときは、専門家と一緒に整理することで、想いをうまく言葉にするお手伝いをしてもらえます。
公正証書遺言にする場合も、付言事項は添えることができます

 

■ "心の相続"を残しませんか?

相続は、財産を分けるだけでなく、気持ちや願いを家族に伝える大切な時間です。
付言事項は、目には見えない心の相続を支える言葉です。
「伝えておきたいことがある」と思ったら、どうかその一言を、遺言書の中にそっと残してみてください
その言葉は、きっと家族の心に温かく残っていくことでしょう。

  

【筆者プロフィール】

昆 充芳 (こん みよし)

終活・相続の相談室

MFC合同会社代表社員・保険代理店所属

相続診断士・終活カウンセラー・古民家鑑定士・ファイナンシャルプランナー・などの資格を持ち相続にまつわるお困り事を、頼りになる各相続に関する専門士・士業達とチームを組み、生前の贈与・遺言書から相続発生までワンストップでトータルにサポートしております。

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