内閣府がまとめた平成7年1月17日の阪神・淡路大震災以降日本でおこった大災害の記録を見ると、大地震や台風、大雪などにより各地に甚大な被害をもたらし大切な命や住宅などの財産が失われています。

内閣府(最近の主な自然災害について)参照 https://www.bousai.go.jp/updates/shizensaigai/shizensaigai.html

そんな自然災害から大切な財産を守るため、どのような補償で備えたらよいのか?を検証したいと思います。

―自然災害に備えられているか?ご自身の保険をチェックしましょう

万一の火災などの事故に備える火災保険。昨今は各保険会社や共済組合などから多種多様な補償をセットした商品が販売されています。

まず、基本となるのが「火災・落雷・破裂爆発」の補償です。

基本補償にプラスして、自然災害や盗難、その他突発的な事故まで補償するものがあります。

自然災害の場合の火災保険の事故の区分は、「風災・雹災・雪災」「水災」などが該当します。風災は台風などにより屋根や外壁・樋などが壊れた、または、近隣の建物の壊れた物や樹木が飛来して被害を受けたときなどを補償します。雹災は雹によるもの、雪災は雪によるものです。

水災は洪水や土砂崩れなどによる流失、床上浸水(床下浸水でも一定の条件を満たせば対象となる場合があります)による損害を補償します。

―台風による被害、火災保険の事故の区分は?

台風による被害といってもさまざま。どのようなことが考えられ、火災保険のどの区分で補償するのでしょうか?

・屋根や外壁・樋などが壊れた、または、近隣の建物の壊れた物や樹木が飛来して被害を受けたなど・・・・・・風災

・ゲリラ豪雨や秋雨前線の影響による大雨や長雨、河川の氾濫、内水氾濫※などによる建物の流失や床上浸水や床上に満たない床下浸水(地盤面45センチ以上の浸水)・・・・・・水災

 ※内水氾濫とは、大雨・豪雨の雨量が下水道、側溝、排水路の雨水処理容量を上回り、土地・建物や道路、地下道などが水浸しになる現象で、近年、都市部で多く発生しニュースになっています。

といや給水溝などに落ち葉や異物が飛んできたり流れてきて詰まったことによる水濡れ被害・・・・・・漏水などによる水濡れ

―地震による被害は「地震保険」が無いと補償されません

地震や噴火・津波によって、建物などの倒壊や埋没・流出の被害をうけたときに支払われるのが地震保険です。地震などを原因とする火災(延焼・拡大を含みます)は、基本の火災保険では補償されませんので注意が必要です。

また、地震保険は「地震などによる被災者の生活の安定に寄与すること」を目的とする制度で、政府と損害保険会社が共同で運営しています。よって、居住部分の無い建物などには地震保険を付けることはできません。(最近は、損害保険会社による独自の地震補償により店舗や工場など居住部分の無い建物なども地震補償をしている場合もあります。)

地震保険は、単独で契約することはできず必ず主契約の火災保険とセットとなり、保険金額は、地震保険がセットされる主契約の保険金額の30~50%の範囲内と定められています。

そのため、地震による損害により建て替えなどの全修復を希望される場合は、地震危険上乗せ特約や地震火災特約により100%の金額まで補償する特約が用意されている商品の検討が必要です。

建物だけでなく、家財の補償は大丈夫?

建物と家財は別個の補償です。(ひとつの契約でセットすることは可能)

家具や家電製品などの家財(生活用の動産)は、建物とは別個に家財を保険の対象として契約しなければ損害を受けても保険金が支払われず、生活の立て直しに多額の費用が発生します。

建物の評価は正しく新価で

建物などは、入手時から年月が経過すると当然時価額は減少します。しかし、火災保険では建物などを修理・再築・再取得するのに必要な額を基準とし、新価(同程度の建物を新たに調達する額)で評価額を算出、評価額の範囲内で保険金額を設定する必要があります。評価が誤っていると万一の事故が発生した場合に十分な補償が受けられない場合がありますので、必ず、損害保険代理店やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しましょう。

保険料(掛け金)を節約するには?

自己負担額を設定した契約が可能です。事故の区分により、必ず自己負担額が設けられている場合もあります。自己負担額を高く設定すると、低く(または自己負担額無し)設定した場合に比べて、保険料を抑えられ、昨今の火災保険改定による保険料値上がりに備えるためのひとつの方策ともいえます。一方で事故の際の負担する金額が大きくなるので注意が必要です。

―復旧に付随して発生する費用は充実していますか?

事故がおこると復旧費用だけでなくその他諸費用は意外と大きいものです。旧来の保険では保険金額の10%程度しか支払われませんでした。最近は損害範囲や原因を調査する費用・ブルーシートで仮修理する費用・残存物を取り片づける費用・その他諸費用を保険金額の同額までまとめて補償できる商品が登場しています。

―住宅修理トラブル 「保険が使える」にご用心

住宅修理などに関し、「保険が使える」と言って勧誘する業者とのトラブルが増加しています。このような勧誘を受けた場合、住宅の修理を業者と契約する前に、ご契約している損害保険会社または損害保険代理店へご相談しましょう。事故偽装や過大請求、保険請求に本来必要のない代行手数料を請求するなどの多額の手数料や修理費を支払ったにもかかわらず保険金は認定されず、甘い言葉に乗せられて知らない間に詐欺に加担してしまうなど、問題行動をする業者が高齢世帯を狙っています。

日本損害保険協会ホームページ内でもトラブル事例を紹介しています。

日本損害保険協会https://www.sonpo.or.jp/news/caution/syuri.html

―まとめ

ご自身のこと、配偶者のこと、親のこと・・・など、この記事をご覧いただいているかたの立場はさまざまです。

高齢者は火災保険のパンフレット、保険見積書、保険申込書(契約書)、保険証券、約款などの多くの書類を見て理解することも困難になってくるものです。

お近くの親族の方や信頼できる保険のプロ、相続診断士・終活カウンセラーなどに相談・チェックやアドバイスを依頼するのも、いまできる終活の一環だと思います。

岩井 真紀子(いわい まきこ) 

笑顔相続道正会員・縁ディングノートプランナー

株式会社 みらいふ 
https://www.k-milife.co.jp/ 
常務取締役 

京都相続診断士会 副会長 
相続診断士 
終活カウンセラー 
ファイナンシャルプランナー 
損害保険トータルプランナー 

京都市内で昭和61年から保険業に携わり、損害保険・生命保険の取り扱いや事故解決のアドバイスをしている。