相続という試練:生前対策の重要性を痛感する時
公開日:2024-11-25 06:00
目次
■遺族にのしかかる現実
「まさか、こんなに大変だとは思わなかった」
相続手続きを終えた人から、よく聞かれる言葉です。
残された家族は、深い悲しみを抱えながらも、煩雑な手続きに追われます。期限内に必要な書類を揃え、役所や金融機関を奔走する日々。想像をはるかに超える負担に、心身ともに疲弊してしまうのも無理はありません。
自身の情報と意思を明確にしておくことが大事です。
■生前整理ができていないと?遺族が直面する問題と負担
故人が生前に十分な準備をしていれば、遺族の負担は軽減されます。しかし、それができていないケースは少なくありません。
遺産の相続人が誰なのか、財産がどこにどれだけあるのか、負債はないのか、といった基本的な情報がわからないと、手続きは滞り、時間もかかります。
また、故人の意思がわからない場合、遺産分割協議が難航することもあります。誰が何を相続するのか、意見がまとまらず、相続人同士で争いが生じる可能性もあります。骨肉の争いに発展し、家族関係が崩壊してしまうケースも少なくありません。
■相続手続きの煩雑さを避けるために
相続人同士の争いを避けるためには生前対策が重要です。
遺言書を作成し、自身の希望や財産状況を明確にしておくことで、遺族の負担を大幅に軽減できます。特に、公正証書遺言を作成しておけば、法的な効力も高く、相続手続きをスムーズに進めることができます。
また、エンディングノートに自身の思いや希望、財産状況などを書き残しておくことも有効です。エンディングノートは、法的な効力はありませんが、故人の意思を伝える手段として、遺族にとって大きな助けとなります。
財産管理や葬儀、埋葬などの準備に加え、近年ではデジタル遺産の管理も重要性を増しています。ID・パスワード・オンラインバンキング・SNSアカウントなど、デジタル上の情報は、故人が亡くなった後、遺族にとって大きな負担となる可能性があります。アクセスできなければ、デジタル上の財産や思い出が失われてしまうだけでなく、悪意のある第三者に利用されるリスクもあります。
これらの情報は、決して終活に限ったことではありません。
■生前対策を確実なものにする為に
元気なうちに相続・終活の専門家に相談し、必要な手続きや費用について確認しておきましょう。
これらの生前対策は、遺族がスムーズに手続きを進められるだけでなく、故人の意思を尊重し、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。
相続は、誰にとっても避けては通れない道です。しかし、事前にしっかりと準備しておくことで、残された家族の負担を軽減し、故人の意思を尊重することができます。元気なうちに、将来のことを考え、必要な準備をしておくことが、自分自身と大切な家族を守ることにつながるのです。
「備えあれば憂いなし」という言葉があります。相続においても、この言葉は当てはまります。
生前対策は、決して面倒なことではありません。むしろ、大切な家族への愛情表現と言えるでしょう。
相続手続きを経験した人は、口を揃えて生前対策の重要性を訴えます。
彼らの声に耳を傾け、私たちも今からできることを始めましょう。それは、自分自身と大切な家族を守るための、大切な一歩となるはずです。
「もしも」のことが起こったとき、残された家族が困らないように。そして、故人が安心して旅立てるように。生前対策は、そんな思いやりから始まるのです。
■相続手続を終えた遺族の言葉
最後に、相続手続きを経験したある方の言葉を紹介します。
「父が亡くなったとき、何も準備ができていませんでした。手続きは想像以上に大変で、家族関係にも亀裂が入りました。あの時、父が生前対策をしてくれていたら…と、今でも悔やれます。だからこそ、私は自分の家族には同じ思いをさせたくありません。元気なうちに、できる限りの準備をしておこうと思います。」
【筆者プロフィール】
- 「笑顔相続サロン®静岡」代表
- 「FP事務所 LP想暖や」代表
- 「保険代理店 有限会社シー・フィールド」代表取締役
- 「Dog care salon Oli」代表
ファイナンシャルプランナー歴・保険代理店経営歴共に20年超、ライフプランや家計の見直し等の相談件数は2000件以上。
2019年笑顔相続サロン®静岡を開設 特に相続診断士×ファイナンシャルプランナー×終活カウンセラーの要素を活かした、終活+生前+相続のトータル対策を得意としている。
●資格:
- 上級相続診断士・終活カウンセラー
- ファイナンシャルプランナー(AFP)
- 生前整理カウンセラー・住宅ローンアドバイザー
- 縁ディングノートプランナー・笑顔相続道NEXT講師
●著書:
- 「良い相続 悪い相続 チャートで把握する相続危険度」日本法令 共著
- 「もう会えないとわかっていたなら」扶桑社 共著
- 「専門用語を使わない!相続ワードの伝え方」日本法令 共著
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