親が相続に関心を持つために子どもができるアプローチ
公開日:2024-11-11 06:00
目次
親世代にとって、相続税対策は遠い未来の話と感じられ、積極的に取り組もうとしない方が多いのが現実です。
子世代としては準備を進めて欲しいのですが、親の意識を変えるのは簡単ではありません。ここでは、親が消極的になる理由と、その解決策について説明します。
■親が相続対策に消極的になる理由と解決策
1. 相続の話がタブー視されがち
相続の話題は、どうしても「死」を連想させます。特に親世代の多くは、「そんな話はまだ早い」「縁起でもない」と感じ、話を避けがちです。家族の将来を守るための大切な準備ではあるものの、話しにくさが壁となり、相続の準備に消極的になる場合が少なくありません。
相続の話題は「家族の安心を守るための準備」として、前向きに提案してみましょう。「みんなが困らないように、少しずつ準備しておこう」というように、未来を守るための視点で伝えると、親も受け入れやすくなります。
2. 相続税の知識不足
相続税は仕組みが複雑で、親世代にとって馴染みが薄い分野です。基礎控除や節税対策といった内容が難しく、「何をどう準備すべきか分からない」「手続きが大変そう」と感じる方が多いようです。
まずは子世代が基本的な知識を得て、親と一緒に学び進める方法がおすすめです。たとえば、相続税の基礎控除額や相続税がかからない財産について説明し、親と一緒に理解を深めていきましょう。また、相続に関するセミナーや専門家のサポートを活用するのも一つの方法です。親が「少し分かった」と感じることで、自然と対策に対する意識が高まるかもしれません。
3. 先送りの心理
親世代は、健康であるうちは「まだ自分は元気だから」と相続の準備を後回しにしがちです。「そのうちやればいいだろう」と思っているうちに、気づけば時間が経過し、結局対策ができていないというケースが多く見られます。
相続対策を直接進めるのではなく、「家の片付け」などから一緒に取り組んでみましょう。家族と一緒に整理することで自然に財産に対する意識が生まれ、親も準備を意識しやすくなります。家族の思い出の品や不要なものを一緒に片付ける過程で、相続について自然に考えるきっかけを作ることができます。相続専門の第三者を片付けサポートとして間に入れてもらうことで、親もより相続対策の必要性を感じるかもしれません。
4. 自分が生きている間には効果を実感しづらい
相続税対策は、親が亡くなった後に子ども世代の負担を減らすためのもので、親自身には直接的な節税効果を感じにくいものです。所得税や住民税のように「自分の支出が減るわけではない」と感じ、対策に意欲を持ちにくい場合もあります。
「少しずつ準備をしておくことで、いざという時に家族が安心できる」ということを伝え、家族全体のメリットを説明すると良いでしょう。たとえば「生前贈与」のように、親が手軽にできる具体的な節税方法を提案し、「家族が将来の負担を減らせるから」と理解してもらうことで、少しずつ対策に関心を持ってもらいやすくなります。
5. 家督相続制度の名残
年配の親世代には、「自分がいなくなった後は、長男が中心となって家族をまとめてくれる」という思いが根強く残っていることもあります。家督相続制度の名残から、長男が家を守り、他の兄弟との調整をうまく行ってくれるだろうと信じ、親が積極的に相続準備をしなくても「なんとかなるだろう」と考える場合もあります。
こうしたケースでは、長男や他のきょうだいたちが「家族全員で安心できる形にしておきたい」と親に伝え、相続を話し合う意向を示すことが効果的です。長男だけではなく、きょうだい全員が「安心して引き継げるよう準備を進めたい」とサポートの姿勢を見せることで、親も「皆のために準備を整えよう」という気持ちになるかもしれません。
■子ども世代ができること
実際の行動を通して親をサポート
親が相続に消極的な場合、まずは関連する作業から一緒に取り組むのも一つの方法です。以下のアプローチで、少しずつ親が相続準備を意識できるようサポートしてみましょう。
- 家の片付けから始める
思い出の品や不要な物を一緒に片付けることで、親が財産について考える機会が自然に増えます。片付け作業を通じて、相続を意識しやすくなり、家族との絆も深まるでしょう。 - エンディングノートを一緒に書く
エンディングノートは、親の希望や思いを自然に共有できるツールです。ノートを通して譲りたいものや大切にしている品について話し合い、親の意向を尊重しながら準備を進めましょう。 - 相続に関するセミナーに参加する
親と一緒に相続セミナーに参加し、専門家の話を聞くことで、相続税や節税の基本的な理解を深めるきっかけが得られます。セミナー後に親と話し合うことで、相続対策への関心も少しずつ高まるでしょう。
もめない相続をするために、今できる事を少しでも行動に移すといいでしょう。家族が争わない相続を迎えるためには生前の対策が必須となります。
そのお手伝いとして第三者を入れて話し合うきっかけとなれば幸いです。
【筆者プロフィール】
昆 充芳(こん みよし)
終活・相続の相談室・笑顔相続サロン®新潟TUNAGUみんなの相続診断士事務所・代表
MFC合同会社代表社員・保険代理店所属
相続診断士・終活カウンセラー・古民家鑑定士・ファイナンシャルプランナー・認知症サポータキャラバンなどの資格を持ち、相続にまつわるお困り事を、頼りになる各相続に関する専門士・士業達とチームを組み、生前の贈与・遺言書から相続発生までワンストップでトータルにサポートしております。相続に関する相談を誰に頼んだら良いのか判らない時には是非ご相談ください。生前整理から亡くなった後の事務手続きまでのご相談を受け付けております。
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