令和6年5月1日に他界した父が亡くなって75日後に「借金がある」と聞かされた、前編に続く後編です。ご興味のある方は前編からお読みください。相続放棄ができるのは、亡くなったことを知った日から3カ月以内なので、75日後であっても特に慌てることはないのですが、実際どのような手続きをしてどのようなことが起こったのかをお伝えします。
1 相続放棄申述受理証明書を取得しておきましょう。
相続放棄を裁判所に申し立てると、相続放棄申述受理通知書が届きます。
これは、裁判所で相続放棄申述を受理しましたよという通知書。
筆者の場合はこれが届くタイミングとほぼ同時に債権者から「催告書」が内容証明郵便で届きました。
筆者は父の戸籍から除籍されてのちに6回程転籍しておりますが、ちゃんと現在戸籍から戸籍の附票を取得して、現住所に郵送してきたようです。
債権者からの催告書の内容は、大まかにいうと「支払い期日に支払いがないので、残りを一括で支払ってください」という内容。
これにより、きょうだいから聞いていた借金の内容と、債権者が通知してきた金額がほぼ一致したので一安心しました。
2 催告書の次には通知書がやってきます。
ちょうど、相続放棄の期日が切れた8月に入ってから再び債権者から通知書が届きました。
前回の催告書の通り、借金を相続したので支払って欲しいという内容。
相続放棄をしたという確認が取れないので、担当まで連絡するか、相続放棄申述受理証明書を送って欲しい、そんな内容でした。
地方の信用保証協会特有なのかもしれませんが、とても丁寧な通知文を頂いたので、翌日には担当者あてに相続放棄受理証明書を郵送。これ以上何もなければ相続放棄の手続きは終わりのはずです。
3 実際相続放棄をしなければならかった本当の理由
父が自分の亡き後のことを託す人を間違えたのが最大の理由です。
というのも、父は生前生命保険に加入しており、そうしなければならないわけでもありませんが、その保険金で借金の支払いは足りるだけあったのです。
きっと父はきょうだい仲良く後のことをやってくれるだろう!という淡い期待があったのだと推察しますが、長年にわたり疎遠で交流のない子らが仲良く死後の手続きができるわけがありません。不動産をすべて失っていたおかげで単純な手続きですみましたが、不動産が仮にあったとすると、遺産分割協議をしなければなりませんから、争族になったことでしょう。
さいごに
生命保険や信託財産等は亡くなった方の財産から外れ、受取人固有の財産になりますから、受け取った人がどういう利用の仕方をしても何ら責任は問えません。筆者も不動産を保有していますし、生命保険にも加入していますが、それは自分に万が一のことがあった際に、そのお金で不動産や会社を清算して欲しいからです。寿命は誰にも予測できないものの、必ずその寿命が尽きる日が来ます。笑顔相続の鍵は不動産にあります。
大切な我が家は特にどうして欲しいのか口頭で伝えるか、エンディングノート等を用いて「家族へ想いを遺す」ことをお勧めいたします。
生きているうちは何度でもやり直しができます。親孝行したいときに親はなしにならないことを心より願っております。
稲場 晃美(いなば てるみ)
ハッピーエンディングナビゲーター
株式会社 高田デザインスタジオ 代表取締役
港区南青山4-17-33 グランカーサ南青山2階
HP http://happy-ending.info
Mail support@happy-ending.info
【保有資格】
相続診断士・笑顔相続道正会員
宅地建物取引士
住宅ローンアドバイザー
2級ファイナンシャルプランニング技能士・AFP
縁ディングノートプランナー