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実録!相続放棄と相続財産に含まれないもの(前編)

公開日:2024-07-22 06:00

目次

はじめに

借金がある」と亡くなったのちに聞かされたら、あなたはどうしますか?

最高裁判所事務総局が発表している司法統計表によると、2017年(平成29年)以降、相続放棄の受理件数は約20万件を超え、令和5年度においては28万件と年々と増加を続けています。相続放棄をすると、最初から相続人ではなくなります。しかしながら、相続放棄の方法は厳格にルールが定められており、相続放棄をしようと思ったら実はできなかった。ということにもなりかねないです。一緒に確認しましょう。

1 納骨費用を遺産から払っていいか

相続放棄できる期間は、亡くなったことを知った時から3カ月以内です。筆者は父が亡くなったことを知ったのが、亡くなってから75日後のことでした。そこで、父が住んでいた住所地を管轄する裁判所に相続放棄の件について、電話相談してみたところ、いつ知ったかということがわかるものを添付できるようであればしてほしい。と言われました。もちろん、知った日から3カ月以内に申述すればよいとの話でしたが、なぜ知るのが遅くなったのかについては説明が必要のようです。

2 「借金がある」こと

借金があることを、亡くなった知らせと一緒に受けたので、相続放棄、一択しかなかったのですが、連絡入れてきた長男とは別に次男は生命保険金を受け取っているようです。しかしながら、長男曰く次男は「墓に入れるお金を一円も払うつもりはない」そうで、長男はこう筆者に尋ねてきました。「相続放棄を僕はしたけれど、銀行預金から市営霊園に支払うお金を引き出しても大丈夫か?」合葬墓に入れる納骨費用は7万円。合葬墓なので毎年の管理費等はかかりません。

3 納骨費用を遺産から払っていいか

納骨費用をいさんから払っていいか、裁判所に聞いてみました。すると、裁判所は「相続放棄の申述について書類審査をするだけで、その行為が遺産の処分にあたるかについて回答はしない」とのこと。日本では、葬儀や埋葬に関することは慣例でみとめられており、社会常識的に一般的なことであれば、財産の処分には当たらないとされていますが、父は飲食店を営んでおり、どこでどんな債務があるかわからないので、長男と話し合った結果「銀行からお金を引出すのはやめておこう」という判断をしました。

 最後に

今回の死後事務手続きで感じたのは、身近にいる家族がいないと「相続手続きは大変」ということです。長男も父とは近居で生活していたものの、財産や借金のすべてを把握していたわけではなく、自分で一生懸命調べて「残高証明書」を取得したりして、プラスの財産やマイナスの財産について知ったようです。エンディングノートは縁起が悪い。と思う方もいらっしゃるようですが、遺された家族にとってそのノートが手掛かりとなり、遺産について正確に把握することができると思います。今回は、長男の意向で市民霊園に入れることを予定していますが、生前父は墓を購入していました。父の意向がわかれば、購入している墓に入れるか、祖父が眠る墓に入れるか希望に叶えたと思います。あなた自身が一番の財産なのですから、自分をどう扱ってほしいか是非、エンディングノートに書いてくださいね。

 

筆者プロフィール

お金と不動産相続のコンシェルジュ

稲場 晃美(いなば てるみ)

株式会社 高田デザインスタジオ 代表取締役

笑顔相続サロン®南青山 代表

一般社団法人 縁ディングプランニング協会 理事

 

【保有資格】

宅地建物取引士

住宅ローンアドバイザー

2級ファイナンシャルプランニング技能士・AFP

相続診断士・笑顔相続道正会員

終活カウンセラー2

縁ディングノートプランナー

 

【問い合わせ先】

㈱高田デザインスタジオ・笑顔相続サロン®南青山

港区南青山4-17-33 NAGAYA AOYAMA

電話 03-6271-5221