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認知症になったら相続手続きはどうなる!?

公開日:2024-05-20 06:00

目次

認知症になったら相続手続きはどうなる!?

父が亡くなり、相続人は母と子という場合、母が認知症の診断を受けているというケースもあるでしょう。相続人に認知症の方がいる場合、相続手続きにどのような支障が起こりうるのでしょうか。

65歳以上の5.4人に1人が認知症患者

内閣府65歳以上の介護HPより

高齢化が進むとともに、認知症患者数も増加しています。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計では、65歳以上の認知症患者数は2025年には約675万人(有病率18.5%)と5人に1人程度が認知症になると予測されています。

これだけ身近になった認知症ですが、さて相続が発生した場合どのような問題が考えられるのでしょうか。

冒頭に書いた通り、父が亡くなり相続人は母と子が2人の場合、母が認知症と診断されていた場合、果たしてこのままで相続手続きが出来るのでしょうか。

遺産分割協議書

まずは、認知症で判断能力がない場合、遺産分割協議が出来ないため、遺産分割協議書の作成が出来ない事になります。 ですから、法的手続きである相続手続き全般が出来ないということになります。

法的手続きが出来ないという事は、もし相続放棄をしたくても出来ない事にもなります。

(法定相続分)民法第900条(法定相続分)

預貯金の払い出しについて、原則的に遺産分割協議書が必要となります。法定相続分で分ける場合でも、相続人全員の印鑑証明書を提出しなければなりません。ですから、判断能力のない認知症の人を除外して手続きするのは事実上困難と言えるでしょう。

財産は現金のようにきれいに分けられるものばかりではありませんから、遺言書がない場合、相続財産は遺産分割協議によって分ける必要があります。
判断能力のない方が相続人にいれば、その方に成年後見を付ける必要が出てきます。

不動産相続の場合

不動産をお持ちの場合は法定相続分通りの割合で相続するとなると最終的には共有名義になってしまうという問題が生じてきます。固定資産税の振り分けから、不動産を売却したいときにできるのかという問題も生じてきます。共有状態の不動産は、共有者全員が合意しないと動かすことができないため、売却や賃貸が出来ない可能性も出てきます。

以上のことから判断能力のない認知症の相続人がいる場合、相続手続きには以下に注意する必要があります。

1. 成年後見制度の活用

相続人が認知症のため自己の意思決定が困難な場合、認知症の程度に応じて、家庭裁判所に申立てを行い、成年後見人・保佐人・補助人を選任します。

後見人等は、判断能力のない認知症の相続人に代わって、相続手続きを含む様々な法的行為を代行します。

2. 遺産分割協議の実施

相続人全員の合意による遺産分割協議が必要です。判断能力のない認知症の相続人には、成年後見人等がその意思を代行します。遺産分割協議の結果を公正証書などにして残すことで、後の紛争を避けることができます。

3. 遺言書の取り扱い

認知症の相続人が作成した遺言書がある場合、作成時の遺言能力が問題となります。必要であれば、医師の診断書を遺言書と共に残しておくことが、後のトラブルを避けるために必要です。

4. 相続放棄

認知症の相続人が相続放棄をするには『成年後見制度』を活用します。

成年後見人とは、後見人となった人が、相続人の代理で相続放棄を申し立てる制度になります。相続放棄が出来る期間は「被相続人(死亡した人)の死亡を知り、自分が相続人となったことを知った時から3か月以内」です。しかし後見人が相続放棄する場合には、後見人が選任されて被相続人の死亡を知ってから3か月になります。ですから、後見人の選任手続き中に3か月の期間が経過するという心配はありません。
 成年後見人は、本人である被後見人に代わってあらゆる法律上の手続きを代理する権限があるので、原則として、家庭裁判所の許可を得ることなく、相続放棄の手続を本人のために申し立てることができます。
ただし、親族内で後見人を選ぶと、利益相反となる可能性に注意しなければいけません。

5. 専門家の活用

相続の専門家は司法書士、行政書士、税理士、弁護士などいますが、誰に何を依頼すれば良いのか判らない場合は、ワンストップで相続に関するご相談を受けている相続専門家にまずはご相談ください。

6. 認知症の進行を考慮した計画

まずは、元気な内に対策をすればいいでしょう。家族信託や生前贈与、生命保険など事前にできる対策はあります。可能な限り相続についてのトラブルを回避するためにもご自身の意思をエンディングノートや遺言書という文字に記しておくことも大切です。

これらの注意点を踏まえて、判断能力のない認知症の相続人が関わる相続手続きを進める際には、個々の事情に応じた対応が必要となります。

※監修 弁護士 大石誠

昆 充芳(こん みよし)

終活・相続の相談室・笑顔相続サロン®新潟TUNAGUみんなの相続診断士事務所代表
MFC合同会社代表社員・保険代理店所属
相続診断士・終活カウンセラー・古民家鑑定士・ファイナンシャルプランナーなどの資格を持ち、相続にまつわるお困り事を、頼りになる各相続に関する専門士・士業達とチームを組み、生前の贈与・遺言書から相続発生までワンストップでトータルにサポートしております。相続に関する相談を誰に頼んだら良いのか判らない時には是非ご相談ください。生前整理から亡くなった後の事務手続きまでのご相談を受け付けております。

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