厚生労働省から発表された、令和4年度「離婚に関する統計」の概況によると、平成14年に約29万組の離婚数から年々減少傾向にはあるものの令和2年度は約19万組。筆者も3度の結婚と離婚を経験していており、別れた元夫の元に子が2人。親権を手放して別れたからといって、自分自身に万が一のことが発生すれば「子供たちに相続権はあります。」
別れたあとに一度も会っていなくても、子らは相続人です。筆者自身も子らに迷惑をかけたくないと考えていますので、どのような対策があるのか一緒にみてみましょう。
1 公正証書遺言を作成する
公正証書遺言というと、お金持ちが財産を次世代に遺すために作成するものと思われがちですが、離婚や再婚を繰り返したことにより家族関係が複雑化してしまった方には、有効な手段の一つです。代表的な例で表すと、前妻(夫)の間に子がいて、現在の妻(夫)の間にも子がいるケースです。どちらの子にも相続権がありますが、自分が今の家族に現在一緒に住んでいる自宅を遺したいなどの希望がある場合は、公正証書遺言は必須といって過言ではありません。
2 生命保険を活用する
もし、再婚家庭において、公正証書遺言を作成するなどの対策を行わないまま亡くなった場合は、前妻(夫)の子と、現在の妻(夫)や子の全員で遺産分割協議を行う必要があります。ご自身が所有している財産の内容にもよるとは思われますが、仮に財産の大多数が不動産で現預金があまりない場合に、法定相続分で遺産を分けるとなると不動産を売却して分割するという方法しかない事にもなりかねません。生命保険は受取人固有の財産であるため、保険を活用することにより相続税の納税資金や、代償分割金の準備、遺留分対策等に使えるケースがあります。また、遺産分割協議が難航すれば、銀行口座の解約等も時間がかかりますので当面の生活資金の一部として保険金で助かるケースもあります。
3 前妻(夫)の子と生前にコミュニケーションをとっておく
筆者は前夫のところに子らを置いて出てきましたので、子らの心に多大な傷をつけたのではないか、前夫が子らとの面会について良く思わないのではないか。仕事で忙しいことを理由にして会うことについて遠慮していました。しかしながら、会ってみれば、自分自身が思うほどわだかまりもなく、お互いが自分の人生を一生懸命に生きていることを確認でき、よい時間となりました。
どちらも自分自身の子であることは間違いなので、可能な限り子とのコミュニケーションの時間を確保するのも大切な生前対策の一つだと考えます。
さいごに
再婚家庭においては、一緒に暮らしていない前妻(夫)の子が相続人であるなど、思わぬ人が相続人になることがあります。よく知らない人に遺産を渡したくない心情も相まって、相続人同士が争うことになる可能性も否めません。再婚同士は特に早めに生前の相続対策を行うことにより、大切な資産を大切な人へ遺すことが可能になります。
特に「自宅を一緒に住んでいる家族に遺してあげたい。」そういうご相談をよく受けます。
人はいつ亡くなるかは全くわかりません。大切なご家族を思うのであれば、今すぐできることから始めてみましょう。
稲場 晃美(いなば てるみ)
お金と不動産相続のコンシェルジュ
【保有資格】
一社)縁ディングノートプランニング協会 理事
笑顔相続道正会員
上級縁ディングノートプランナー
宅地建物取引士・AFP
住宅ローンアドバイザー
2級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)
相続診断士
終活カウンセラー2級
【問い合わせ先】
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