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高齢期のおひとりさまの生活、介護、相続・死後を考える

公開日:2024-04-08 06:00

目次

総務省統計局の高齢者の人口発表(2022年9月15日現在推計)では、65歳以上の高齢者人口は3,627万人、総人口に占める割合は29.1%と過去最高とのこと。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、総人口に占める高齢者の推移は今後も上昇を続け、第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年には、35.3%になると見込まれているとのことです。(図1)

出典:総務省統計局 統計トピックスNo.132統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-「高齢者の人口」より

加えて、世帯数全体に占める「高齢者単独世帯」と「高齢者夫婦のみの世帯」の割合は、2015(平成27)年は約23%、2030(令和12)年には約27%になると推計されており、高齢者世帯が増加しています。(参照:厚生労働省・日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」より)

65歳以上の人口を男女別にみると、男性1,574万人、女性2,053万人で女性が男性より479万人多くなっており、人口性比(女性100人に対する男性の数)でみても、65歳以上では76.7人と女性が多いです。(引用元:総務省統計局 統計トピックスNo.132統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-「高齢者の人口」より)

実感としても女性が長生きだなと感じるので、統計データからも「やっぱりなぁ」とうなずけます。

このコラムで、高齢期女性のおひとりさまの生活、介護や相続・死後の準備について考えるキッカケとなり、相談が必要な場合はできるだけ早く行動した方がいいと感じていただけたらうれしいです。

高齢者世帯を支える大切な収入源:公的年金

気がかりに思うのは、生活費(お金)のこと。どれだけ長生きできるか分からないというのは、〔長生きリスク〕という表現がされます。〔長生きリスク〕を下支えしているのが、公的年金の【老齢年金】です。【老齢年金】だけで暮らしていくことはできないですが2か月に1度、銀行口座にお金が振り込まれる安心感は、高齢期には大変ありがたいものです。

厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」から、高齢者世帯の所得の約6割が【老齢年金】であることからも、若い頃のような所得を得にくくなった高齢者にとっては、公的年金の【老齢年金】は主な収入源となっています。

図の出典元:厚生労働省、日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」より

老齢年金をもらっている夫婦世帯がおひとりさまとなった場合の収支を見える化

現役の頃に加入していた年金制度によって受給する老齢年金の種類は違いますが、夫婦2人で受給していた年金額から比べるとおおよそ、5割~4割減となります。

(図は筆者作成)

夫が亡くなり妻ひとりの生活となった場合、生活費が半分になるわけではありません。妻が一人となった場合に受け取れる年金額がいくらになるのか、必要な生活費と比べて不足額はいくらになるのか、あらかじめ試算・見える化し、不足額に対する対策や準備を検討する必要があります。

ご自身で試算や見える化が難しい場合は、ファイナンシャルプランナーに相談することも選択肢です。

介護・相続・死後の手続きに備えて現状を見える化

核家族化が進み、高齢者世帯が増加しているということは、いずれ訪れる介護や相続・死後の手続きについても配慮・準備が必要になります。近隣に頼れる親族がいればできていた手続きも、遠方であったり、多忙であったり、疎遠であったりすれば介護や相続・死後の手続きは負担の重いものとなります。

分かってはいても何から取り掛かればいいのか分からずに年月が過ぎ、いざ終活に取り掛かりたいと思ったときに身体の調子を崩してしまった、体力や集中力、気力が衰え思うように準備することができない、準備が間に合わなかったということにもなりかねません。

介護・相続・死後の手続きへの備え方は、家族の状況や想いなどによって様々です。限られた時間の中で、自分の場合には何を優先的に始めれば良いかを判断するのは容易ではありません。優先順位を判断するために必要な現状を把握し、課題がどこにあるのか、何から対策・準備していくのかを整理することは時間と労力、情報、知識が必要になります。

現状の見える化に役立つアイテム:エンディングノート

自分の想いや介護・相続・死後に係る現状把握に役立つのは、エンディングノートです。エンディングノートには、自分のプロフィールや考え方、想いを整理する項目、介護・相続・死後に必要な情報や考え方を書きこむことができる項目があります。エンディングノートは100均でも売っていますし、行政で無料配布している市区町村もあります。

エンディングノートは、全ページを埋めることを目的とせず、介護や相続・死後の手続きで関わる人たちが困らないようにするためには、どのページを書けば良いかを判断しながら書きこんでいきましょう。

相続コンサルタントと一緒に現状把握と課題整理を行う

想いや悩み・現状を相続コンサルタントに話し、相続コンサルタントを窓口にして介護・相続・死後の準備をする方法もあります。相続コンサルタントは、現状のヒアリングから課題を俯瞰して整理し、優先順位を判断し、相談者に必要な行動をサポートしてくれます。

どの専門家に頼ればいいか、どこでその専門家(司法書士、行政書士、税理士、土地家屋調査士、弁護士など)に出会うことができるのか分からないときにも、相続コンサルタントは窓口となり、相談者と専門家をつなぐことができます。

まとめ

高齢期のおひとりさまの生活のことを考える必要があるな、具体的に行動に移していかないと家族や大切な人が困るかもしれないと想像していただくキッカケになりましたか?

老後の生活を支える年金は、高齢期の妻がおひとりさまとなった場合に、夫婦で受け取っていた時よりも5割~4割減ることを念頭に準備を進めましょう。特に次のような世帯は注意が必要です。夫の厚生年金を繰下げしている、遺族厚生年金がなく老齢基礎年金しかない、妻の年金を繰上げしている場合です。受け取り方によって年金を増やすこともできますが、おひとりさまとなった場合の収支についても検討し受け取り方を考えましょう。

高齢期のおひとりさまとなってから介護や相続・死後に取り組みたくても体力、気力、集中力の衰えなどにより思うように進みにくいものです。家族の状況や想いはそれぞれですので必要な準備も対策も家族によって違います。インターネットや雑誌、書籍、動画などで信頼できる情報や正しい知識を収集していただき、高齢期のおひとりさまの生活、介護や相続・死後の準備の必要性に早めに気づいて頂きたいです。

何から手を付けたらいいか分からない、ずっと悩んでいる、行動するのに専門家に話しを聞いてもらいたい場合は、筆者のような相続コンサルタントを頼っていただけたらうれしいです。

大北 あかり(おおきた あかり)

スッキリ笑顔を増やす 年金が好きなファイナンシャルプランナー・相続コンサルタント

人生とお金(ライフプラン)の相談、相続・死後についてのお悩み相談に対応。

ヒアリングからの現状把握を大切にし、難しい専門用語を使わずに、図やイラストを使って現状を見える化することで相談者さんと課題を共有しながらコンサルティングを行っています。

(保有資格)AFPⓇ、公的保険アドバイザーⓇ、相続診断士Ⓡ、

損害保険トータルプランナーⓇ、損害保険募集人、生命保険募集人、

縁ディングノートプランナー、笑顔相続道正会員

【問い合わせ先】akari_fp@plus-rifure.com