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相続税の連帯納付義務

公開日:2024-01-29 06:00

目次

相続税の連帯納付義務

はじめに

筆者は、20年の不動産業界のキャリアの中で、多くの相続不動産の相談を受けてきました。これらの経験の中で、相談者は、相続した不動産を売却し、相続税の申告と納税を終わらせてめでたしめでたしといった形で、スムーズに手続きを完了することを目指す訳ですが、完了したと思って安心するのもつかの間、後に大きな問題が起きてしまうこともあります。このコラムでは、この予想外の問題を共有し、皆様の今後のお役立てていただきたいと考えています。

1. 相続と不動産の複雑な関係

相続対策や相続手続きというものは、一筋縄ではいかない冒険のようなものです。特に不動産を伴う相続は、ミステリー小説を読んでいるかのように予測不能で、時には頭を悩ませるパズルと化します。私がこの20年間で学んだことは、不動産業者としての経験はもちろん、人間の心理と法律、税務が複雑に絡み合っているものを専門家とともに紐解き、理解することの重要性です。相続手続きはただの法的プロセスではなく、家族の歴史、感情、未来の計画が交錯する場です。ここでは、そんな相続と不動産の舞台裏を少しのぞいてみましょう。この道のりは、時に笑いあり、時に涙ありのドラマチックなものですが、最終的には深い学びと洞察に満ちています。

2. 相続税の連帯納付義務の解説

相続税の連帯納付義務は、相続において避けては通れないものです。相続人全員が、相続税を分担する責任を共有することになります。これは、まるで家族でレストランに行った時、注文したものは別々でも最後の支払いは皆で分け合うようなものです。法律上、この義務は相続人全員に適用されます。基本的には「共に相続するなら、共に納税する」が原則です。相続人が複数いる中で、一人が相続税の納税を怠れば、その他の相続人がその分を負担する羽目になります。

3. 納付スケジュールとプロセス

納税スケジュールは相続の世界におけるタイムテーブルのようなものです。相続税の申告と納税の期限は、相続発生からカウントして10ヶ月以内。中には納付期限の延長が認められるケースもありますが、かなり特殊な場合に限られます。相続税における申告期限、納付期限は、厳格に守らなければなりません。納税期限を逃すと、延滞税が課されます。期限内に納税を行うことは、相続人全員の責任。もし一人が納税を怠ると、残りの相続人がその負担を背負うことになります。納税スケジュールの管理は、最も重要な仕事の一つです。

4.実例分析:高級住宅街のトラブルとその解決

直近の事例で、私は複雑な相続トラブルに遭遇しました。実家である土地建物は相続財産の一部です。目黒区の高級住宅街に位置し、その敷地は中規模で擁壁があること、間口が狭かったことから、地形や接道なのどの条件が良い土地の相場で売却することは難しい物件でした。物件は相続手続き時に4名の共有で相続登記を行い、一時的に販売はしましたが、購入者は現れませんでした。理由はかなり高めの販売価格だったからです。物件の販売をしているタイミング頃に相続税の申告をしました。その後、販売せずにそのままの状態で保留状態になっていました。

それから1年も経過していませんでしたが、相続人の一人が納税を怠っていることが発覚しました。相続人全員が国税庁からの通知(完納されていない旨等のお知らせ)を受け取ったのです。つまり、他の相続人が連帯して納税する義務を負わなければならない状況になりました。相続税を納付した相続人たちはたまったものではありません。解決策は、四名の共有財産である不動産を売却して、納税していない方が受領する代金で納税することでした。以前は、高値を求め過ぎて売却できなかったわけですが、そうも言っていられません。擁壁や間口などの条件を考慮し、不動産を適切な価格で売却しても、十分に納税資金を確保できる不動産でしたので、最終的には相続人全員が納得する条件の購入者を早期に見つけ出すことができました。無事に不動産の売却が完了できたので、未納だった相続税は、未納にしていた方の受領金額から全て支払うことができました。

5.資産差し押さえのリスクと対処法

上記の例をそのまま相続人全員が放置してしまったらどうなるでしょうか?相続税の納付を怠ると、差し押さえという厳しい現実に直面します。不動産、預金、給与、自動車、株式など、あらゆる資産が差し押さえの対象になります。これを避けるためには、納税計画をしっかりと立て、スケジュールを忠実に守ることが必要です。また、共有名義の不動産など、特に複雑な資産の場合は、納税前に専門家の意見を求めることが賢明です。納税計画を立てる際には、将来のリスクを見越して、資産管理の戦略を練ることが重要です。適切な準備と計画があれば、リスクを大幅に減らすことができます。

6. まとめ

今回書かせていただいた相続税の連帯納付義務に関する事例では、まさか相続税を納付していない人がいるなど誰も想定していませんでした。専門家は、本件に限らず、この想定外の事実に対応し、問題を解決に導くことが求められます。

相続案件は、人それぞれが歩んできた生き方が複雑に絡まって関係しており、一つとして同じ案件はありません。時期によって変動し、突発的な対応が求められます。私たち専門家は、この変わりゆく環境の中で、常に学び、適応し、成長する必要があります。私がこれまでの経験から学んだ最大の教訓は、準備と知識が最良の防御策であるということです。

一人の専門家が経験できる実務には限りがあります。これからは専門家が自ら発信するなどして情報を共有し、学び合う必要があると考えています。お客様のお悩みをスムーズに解決し、顧客満足度を上げるためにも、相続の専門家は、情報共有し、連携して対応していくことが求められています。

柏原 健太郎(かしわばら けんたろう)

税理士法人リライトグループ
株式会社TBH不動産 代表取締役
NPO法人資産と暮らしの相談センター 非常勤理事
笑顔相続道正会員
宅地建物取引士、相続診断士、終活カウンセラー2級、2級ファイナンシャルプランナー
弁護士、税理士、司法書士、行政書士などの各専門家と連携して問題を解決していく不動産会社です。得意分野、相続、離婚、借金、借地権、底地権。

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