筆者は生命保険の仕事をしておりますが、先日90歳の女性のお客様に生命保険のご契約をして頂きました。
その時お客様から「この歳で保険に入れるとは思わなかったよ、ありがとね。」とお礼を言われ、はっとさせられました。
一般的に生命保険は年齢や持病の内容によって入れないことなど、選択肢が少なくなることは事実ですが、保険業界に入ってずいぶんたった筆者にとって「90歳でも入れる保険がある」差があることに改めて気づかされました。
そこで本コラムでは、高齢になっても検討できる生命保険についてお伝えします。
●高齢になると保険に入れないのか●
選択肢が狭まることは事実です。保険の種類によりますが90歳、保険会社によっては95歳まで対応出来る商品があります。
ただ、95歳まで加入できるものは少なく、銀行や大型の保険代理店等一部の取り扱いとなります。
●大病をしていると入れない●
これも選択肢が少なくなるのは事実です。しかし、以下のような保険であれば入れる可能性があります。
・引受基準緩和型
告知(健康状態の質問)が少ないため、ご自身の病気のことを申告しなくて良いケースがあり、結果的に入りやすい。ただし、治っていないガン等はNGのケースもあります。
・無告知、無選択
どちらも同じ意味ですが、告知(健康状態の質問)がありませんので、原則大きな病気があってもお申込みいただけます。ただし、告知に該当しなくても入院中など一定の状態の場合はお申込みが延期になることもあります。
※無告知タイプは選べる保険種類に制限があります。
●入れたとしてもデメリットはないのか●
生命保険は入っているお客様間の公平性を保つために「ある一定程度の健康状態の人」を選別する意図で健康状態を確認しています。
そのため、上記の引受基準緩和型や無告知のタイプは一般的な保険と比べ条件が異なります。主な条件とは
・保険料が割高になる。
・加入後一定期間は保障されないか、保障額が少なくなっている。一定期間を過ぎると一般的な保険とほぼ同等の保障となる。
の2つです。
以上のことから考えても「保険は若く健康なうちに入ったほうが良い」と言えますし、何より選択肢も多くなります。
●高齢で保険に入る意味はあるのか●
死亡保険金は書類が揃えば1〜2週間で受取人に確実に支払いを行います。保険会社、保険金によっては即日支払いをするサービスがあります。
銀行預金やその他の金融資産は、他の相続人の方と折り合いがつかない場合、予想以上に時間がかかるケースもある中、スピーディーかつ確実に受け取れるのは保険の良いところです。
加えて死後だけではなく、生前においても現金化しやすくなっています。
一部保険会社で採用されている「契約者代理請求」という仕組みを使うと、万一保険契約者が認知症等になった場合でも、貯蓄型保険を指定された家族が代わりに解約することが出来るので、介護費用や医療機関への支払いに使うことが出来ます。
「お金を確実に使える状態に」出来るのは保険の大きな強みです。
●終わりに●
時代とともに保険も進化しています。
保険に限らずやはり何事も「早いうちに」準備しておく方が有利なのは時代が変わっても同じことです。
とはいえこういった準備、特に保険というのはあまり考えたくないもの。そんな時は改めて自分の大切な人を思い浮かべてみましょう。保険は大切な人のためにお金を残す手段ですから、まずはここからです。
筆者のおすすめはエンディングノートを書くことです。
エンディングノートは自分の人生の棚卸しや振り返り、大切な人へメッセージを考えるきっかけになります。「もう保険には入っているから」ではなく、大切な人への気持ちを再確認し、「その気持ちが今の保険と合っているのか、十分なのか」を定期的に見直してみてはいかがでしょうか。
福本 知輝(ふくもと ともき)
寺院コンサルタント
2級ファイナンシャルプランニング技能士
相続診断士 笑顔相続道正会員
終活カウンセラー1級
西日本を中心に寺院向けの生命保険、資産運用のご提案、檀信徒さま向けの相続相談業務を行っています。お寺ならではのお悩みに寄り添い、解決するお手伝いを致します。
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