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家族で始める終活④ ~おひとりさまの生き方と家族の見守り方~

公開日:2023-12-18 06:00

目次

はじめに

皆さんは「おひとりさま」という言葉を聞いて、どんな方を思い浮かべますか?

生涯独身を貫いた人、兄弟姉妹もいない人・・・。

では、ご夫婦だったり、子どもがいれば、「おひとりさま」とは無縁でいられるでしょうか?

筆者の母は79歳、2年前に父が亡くなり「おふたりさま」から「おひとりさま」となって一軒家での一人暮らしを続けています。最近物忘れが多くてと嘆いてはいますが、一日に7,000歩も歩くほどの健脚で、身体はいたって健康で、日々規則正しい生活を送っています。高齢者の一人暮らしですから、見守りも兼ねて最小限の防犯セキュリティを設置し、娘の私はせめてもの親孝行にと月に一度は訪ねる日を決めているほか、兄や弟も比較的こまめに実家に立ち寄っています。

十分に配慮していたつもりでしたが、ある日突然それは起こりました。

普段なら就寝している筈である夜の22時を過ぎても母が家に居ないと見守りシステムが作動し警備保障会社から連絡が入ったのです。警備員に警察官、ご近所の方々まで駆けつける騒ぎとなりましたが、深夜1時過ぎに全身にケガを負いながら母が自力で帰宅しました。立ち寄ったコンビニエンスストアの店員がタクシーを呼んでくれて無事に帰宅できたようですが、自宅からは徒歩90分以上離れた場所、12時間以上も母はどこで何をしていたのか、なぜ怪我を負ったのか、母の記憶も曖昧なままでした。

警察の方によれば、認知機能障害の高齢者の徘徊や行方不明は、今回の母のような形で始まることが多いので注意してあげてください、とのことでした。

毎日のように散歩にも出かけている母親が、ある日突然自宅に帰ってこられなくなる事態が、こんなに早く訪れるとは、誰も想像していなかったのです。

今回は、いつか「おひとりさま」生活になった時のために、どんな準備をしていけばよいのか、また家族はどのように見守っていくのがよいのか、考えてみたいと思います。

【65歳以上の一人暮らし】

内閣府のデータによると、65歳以上の一人暮らしの者は男女ともに増加傾向にあり、昭和55年には男性19万人、女性69万人で、65歳以上人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%であったが、平成27年には男性192万人、女性400万人、65歳以上人口に占める割合は男性13.3%、女性21.1%となっています。

私たちも将来そのうちの一人となる可能性は決して低くはないのです。

【おひとり様生活の準備】

「健康だから」「近くに住んでいるから」「たまに様子を見に行っているから」と言って、まだ大丈夫と油断してしまうことがあります。親の遠慮に子の欲目が重なって、つい「うちの親はまだ大丈夫」と思ってしまうのです。

誰しもがいつかは「おひとりさま」生活になると思って、早め早めの準備を心がけたいものです。

高齢者の一人暮らしが増えている昨今、いわゆる見守りのニーズが高まり、さまざまなサービスが出てきています。見守りサービスを利用する場合のポイントをいくつか挙げてみました。

  • 親の意向を尊重する
  • 状況や目的に合わせて利用するサービスを選択する
  • 長期的に考えて無理のない費用負担にする
  • 見守り用機材を使用する場合は操作が簡便なものにする
  • 迷った場合は専門家に相談する

などが挙げられそうです。

ただ、親の意向については、見守りが必要になってくる前から、親子でしっかりとコミュニケーションを取っておくことが必要です。

【エンディングノートの活用】

筆者は常々、相続の対策や人生の後半を自分らしく生きる準備に、エンディングノートを書きましょう、とご案内しております。ところが、親にエンディングノートを書いてほしいとは、子どもの側から勧めづらいという話もよく聞きます。

最期の準備なんて縁起でもない、面倒だ、と思われるかもしれません。

何のためにエンディングノートを書いておくのか、まずは目的を明確にしてみてはいかがでしょうか。市販されているノートや項目にこだわる必要はありません。

筆者の母の場合は、エンディングノートの代わりに、昔からほぼ毎日つけている家計簿にその目的を果たしてもらっています。母の家計簿は、日記や備忘録、写真や大事な郵便物などたくさんの情報を母の気の向くままに自由に綴られています。食事や体温記録、電話のかかってきた相手と時間なども。

今回、母を探してもらう際の情報や手がかりにもなり、服装や散歩のコースなどはわが家の次男が「おばあちゃんはいつもこの道を通る」「リュックサックの色が黒と水色とピンクで・・・」と説明。家計簿にかかれている情報と孫たちの話を総合しながら、歩けそうな場所や当日の服装について、確定はできないながらも伝えることができたのです。

【認知症の対策】

母の認知機能障害については、これから受診予定の検査結果を待たなければなりませんが、物忘れが多くなってきた段階で、やはり早めに専門外来を受診するべきだったと思っています。どんな病気でも早期発見早期治療が大事と言われるように、「ひょっとして」の段階で専門医にかかり、早め早めの対策を心がけたいものです。

まとめ

人生100年時代といっても、残念ながら健康寿命と生命寿命には乖離があります。男性でおよそ9年、女性はおよそ12年。誰しも長生きをするなら健康でありたいと願いますが、そうでなかった場合の準備もきちんとしておきたいものです。

エンディングノートは、老後の生活を元気に楽しむためにも、そして、一人で自立した生活が難しくなってきた場合のためにも、よりよく生きるための希望をしっかりと記しておきたいものです。

「そうだ!エンディングノートを書こう!」

と思われた方は、エンディングノートの書き方認定講師がサポートしますので、ご相談ください。

金田 京子(かねだ きょうこ)

ファイナンシャルプランナー
ライフプランニングや家計の見直しなどを中心に1万件を超える個別相談に携わり、
金融教育インストラクター、セミナー講師としても活動。
法律事務所・金融機関勤務での経験や知識を活かしながら、
専門用語を使わずにわかりやすい言葉で、世代間をつなぐ相続・終活コンサルティングをおこなっております。

【保有資格】
2級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)
相続診断士® 笑顔相続道正会員
終活カウンセラー®1級
トータルライフコンサルタント(生命保険協会認定FP)
【問い合わせ先】
Mail: k.kaneda@jinsei-mikata.com