仏教では仏事の際に念珠(数珠)を持ってお参りします。その起源をたどると古代インドのバラモン教で用いられた道具がルーツと言われ、東に伝わったものが仏教の念珠に、西に伝わったものがイスラム教のミスバハやキリスト教のロザリオになったと言われています。
念珠は、宝石や木の実の珠に穴を開け、糸を通して輪にして作られます。
珠の材料となる宝石は琥珀、水晶やダイヤモンドなど指輪などの宝飾品として使われるものが念珠にも使われます。
木の実は白檀や黒檀、菩提樹などが代表的で、それ以外の材料としては象牙や桜貝、珊瑚などを用いたものもあります。
お手頃な価格の念珠も沢山ありますが、宝石を使った念珠には非常に高価なものもあり、高級車が買えるほどの価格のものもあります。
●糸で輪になってこその念珠
念珠に使われる宝石の一つ一つは高価なものですが、糸を通すための穴が開いています。そのため、珠が大きくても指輪に使われるものに比べて価値が下がります。また、糸が切れてバラバラになってしまうとさらに価値が下がります。
そう考えると、念珠を念珠たらしめているのは、一つ一つの珠ではなく、珠を貫いて一続きにしている糸と言えるのではないでしょうか。
●人生の珠を貫く糸
皆さんは人生を歩まれる中で得た経験や出来事から、ご自身の宝石の珠を生み出し、大きく立派にしようとされます。
その宝石は家族であったり、自宅であったり、財産であったり、地位や名誉であったり、人との関係であったりするでしょう。そしてそれらを貫く糸となるのは、あなたの人生観や価値観、信念や目標、想いや感情などです。
私たちの人生は永遠ではないため、いつか終わりが来ます。あなたが亡くなった時に、珠である家族や財産といった物質的なものや葬儀に駆けつけてくれた人との関係は残されますが、バラバラに存在するだけでは価値を失い、あなたが生きていた時ほどの輝きを見せないでしょう。
あなたが亡くなった後に、あなたの生き方が家族の心に残り、あなたの考え方を基に財産が使われ、あなたの生前の付き合い方からの関係性が続いてこそ、これまで大きく立派に育てた珠が死後も活かされるのです。
●あなたの想いを残す遺言やエンディングノート
ではどのようにすれば、生前のあなたの想いや生涯の出来事を後世の人に伝えていけるでしょうか。
筆者がおすすめするのが遺言やエンディングノートです。
遺言は財産の分け方を書くだけでなく、付言事項と呼ばれるお手紙の部分に、家族や友人に対するあなたの想いやメッセージを残すことが出来ます。
エンディングノートは、遺言よりも分量を気にせずに詳細に気持ちを書くことが出来ますし、他にもあなたのライフヒストリーや家族との思い出、信条など大切にしていることを書いて遺すことができます。
死後に財産や名声などを遺そうとするだけでなく、遺言の付言事項やエンディングノートを用いて、念珠の糸となるあなたの生き方や考え方も一緒に遺せるように考えてみてみましょう。そうしてこそ、単なる穴の開いたバラバラの珠ではなく、糸によって一続きとなった念珠が、後世の人に受け継がれ、また新たな輝きを見せるのです。
吉武 学(よしたけ まなぶ)
饗庭山法泉寺(真宗大谷派) 住職
吉武学行政書士事務所 代表
一般社団法人相続診断士協会パートナー事務所
相続診断士
笑顔相続道正会員
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