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終活で輝く今後の「自分らしい」人生~おかねまわり編~

公開日:2023-11-20 06:00

目次

1.一般的な「終活」のイメージ

最近「終活」という言葉をよく耳にします。
「終活」は、人生の終わりを迎えた時に、周囲の方が困らないようにしておくための活動で、自身の財産の整理や延命治療の希望、葬儀や埋葬など、自分らしい最期を迎えるための準備をするという意味合いがあります。
自身が思い描く「理想の人生の終い方」を周囲の人に迷惑をかけずに達成するための計画及び準備が出来る事、それが終活の効果と言えます。まずは、周囲の人に迷惑をかけない、という目的を達成する事が出来たら、ひと安心と言えますね。

筆者は「終活」の効果については、実はもうひとつあると考えています。
それは、「理想の人生の終い方」に向けた準備を行い将来への不安が減る事で心に余裕が生まれ、自然と自身の今後の生活に目を向けやすくなるという事です。

「終活」を進めていくうえで、考えるべきことは数多く多岐にわたります。その項目をまとめる事が出来る「エンディングノート」を活用すると大変便利です。

「エンディングノート」を書き進めていくと、感謝を伝えたい人や行ってみたかった場所、人生でやり残している事などが思い浮かんできて、今後の人生の目標が増えていきます。楽しみや計画が増えて、今後の人生が輝きだすのです。

この様な事から、「終活」は終わりのための活動であることと同時に、これからの人生を前向きに楽しく生きるための活動であるとも言えるのです。「終活」で、「理想の人生の終い方」を決め、今後の人生の計画や目標を決めたら、あとはその計画を実行に移すだけです。ワクワクしてきますね。
ただ、そのワクワクをスタートする前に確認すべき大事な事がひとつあります。それは「おかねまわりのこと」です。

2.「おかねまわり」の不安をなくす=「真の終活」

当社では終活のコンサルをお引き受けしています。その中で、依頼者の方々がよく口にする、おかねまわりのことで感じる不安の代表例は次の通りです。
① 長生きはしたいが、生活をしていけるのか?(生活が成り立つのか)
② 今後どんな資金が必要となるのか(いつ、いくら)
③ いつまで働けば良いのか?

まさに、漠然とした不安なのですが、このような不安を抱え、なかなか前に進むことができずにいる方が多いのも事実です。

「終活」に取り組む事で「理想の人生の終い方」を決め、同時に今後の人生の目標や計画を設定する事が出来ます。あとは、この「おかねまわりの漠然とした不安」を取り除くことで、「真の終活」は完成となります。

漠然とした不安を取り除き、終活を「真の終活」に導くためには、その漠然とした不安の原因を明確化する必要があります。その不安が的中するのかしないのかを見極める事がとても重要となります。そして、その不安の正体を見極める術が「ライフプラン」なのです。
「ライフプラン」について詳細は後から触れますが、簡単に考えると、

「手持ちのおかね」+「入ってくるおかね」―「出ていくおかね」
=ずっとプラスの状態 
であれば大丈夫なので、これを見極める事が目的です。

3.おかねに名前をつける

それでは「終活」で考えた「理想の人生」を実現すべく、おかねを目的別に振り分けてみましょう。おもな収入・支出は次の通りです。これらは、個人個人で違うので、個別にじっくり考えていく内容です。


① 手持ちのおかね(どこにいくら)
預貯金・生命保険・有価証券・その他金融資産・不動産など
② 入ってくるおかね(どこからいくら)
働いている間の給料・退職金・年金(公的なもの・私的なもの)・投資先からの配当金など
③ 出ていくおかね
【定期的な支出】
 生活費・保険料・税金・健康保険料・住居費(賃貸料他)
【一時的な支出】
 医療費・家の購入やリフォーム・自動車購入など大きな買い物
 介護施設入居費用など認知症・介護への備えなど人生のイベント
④ 亡くなった時に必要なおかね
葬儀費用・お墓等供養の費用・亡くなった後の手続き費用など
それぞれじっくり考え、次はライフプラン設計で収支の確認をしていきます。

4.ライフプラン設計

おかねに名前を付けたら、いよいよライフプランの設計。これは、個人個人で状況は異なるので、先ほど検討した詳細な内容をもとに個別相談という形で実施していくことになります。

当社ではライフプラン設計システムを使い、この様な順序で進めていきます。

    ① 【必要事項入力】プラスの財産の情報入力
     現在の基礎財産額としての預貯金や有価証券残高などの手持ち資金情報。
     今後の定期的な収入予測額(年金など)情報。
    ② 【必要事項入力】支出についての情報入力
     生活費等の定期的支出については、内容を見直しながら適正な金額を入力。
     住宅リフォームや自動車購入等の一時的なイベントについては具体的な時期と金額を入力。
     認知症や介護費用
     介護施設等も、入居時期を予測し希望の施設の料金を調べたうえで具体的な時期と金額を入力。

    ③ 【収支バランスの確認】終活で決めた理想の人生設計が入力できたら、ここで一度シミュレーションを行い、収支のバランスを見ながら状況(金融資産残高等)の確認を実施。決めたライフプランが無理のない状況か?将来への不安から我慢しすぎではないか?などの確認を行うことで、当初から持っていた下記の様な「おかねまわりの漠然とした不安」が解消されます。
     今の生活をずっと続けていけるかどうか
     何歳まで働く必要があるのか
     住宅のリフォームなどをしても問題ないか。予算は足りるか?
     介護施設に入る費用は足りるか?  
    など。これらすべてライフプランで確認可能です。

    ④ 【工夫】ライフプラン設計及び確認をした上での工夫
     もし描いた人生に無理があるようなライフプランとなっていた場合は、全体的に見直しを行い無理のない範囲で軌道修正を検討。
     終活で決めた通りの人生を歩んでいった場合の、毎年の金融資産残高の推移と、万が一亡くなった時の金融資産残高も確認が出来るので、その中で運用できそうな資金があれば工夫し、お金に働いてもらう事も検討。
     亡くなった時の金融資産残高の予測もできるので、遺族へ遺す資金と相続人ごとの分け方も検討可能。予定より多く遺りそうな場合は、自身への支出を引き上げて、もう少し生活のクオリティをあげてもいいなとか、大規模にリフォームも出来そうかなど検討する事も可能。

    世の中には、漠然とした不安を抱えている方も多いですが、ライフプランではっきり確認することで、安心したとホッとされる方も多いです。これで今後の人生がより輝きを増すことにつながるのでしょう。

    5.「おかねまわり」を整えて自分らしい人生を描く

    「終活」と「ライフプラン」で「おかねまわり」を整えることで、自分らしい理想の人生を描き歩んでいくことが出来る事をお伝えしました。
    「終活」で判る「理想の人生の終い方」が究極の目的地だとしたら、「ライフプラン」はそこまで行くまでの地図と旅のしおりのようなものと言えると思います。

    みなさん、それぞれが今抱えている将来への漠然とした不安を「終活」と「ライフプラン」の相乗効果で解消し、「自身が理想的と思える形で人生を終う」までの間、楽しく充実した人生を送っていってください。そのために、このコラムが少しでもお役に立つことが出来たら幸いです。
    最後までお読みいただきありがとうございます。

    栗原久人

    「笑顔相続サロン®静岡」代表
    「FP事務所 LP想暖や」代表 
    「保険代理店 有限会社シー・フィールド」代表取締役
    〒427-0005 静岡県島田市岸町643-4 電話 0547-33-1666
    Eメール c-field@c-field.com
    HP https://egao.lpsoudanya.com/

    上級相続診断士・終活カウンセラー・ファイナンシャルプランナー(AFP)生前整理カウンセラー・住宅ローンアドバイザー
    ファイナンシャルプランナー歴・保険代理店経営歴共に20年、ライフプランや家計の見直し等の相談件数は2000件以上。
    2019年笑顔相続サロン®静岡を開設 特に相続診断士×ファイナンシャルプランナー×終活カウンセラーの要素を活かした、終活+生前+相続のトータル対策を得意としている。
    著書
    「良い相続 悪い相続 チャートで把握する相続危険度」日本法令 共著
    「もう会えないとわかっていたなら」扶桑社 共著
    「専門用語を使わない!相続ワードの伝え方」日本法令 共著