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生命保険金の受け取り手続きの注意点

公開日:2023-09-18 06:00

目次

●はじめに●

万一のことがあった際に保険金を受け取ることができる生命保険。
保険金の請求はそう何度も体験することではありません。実際にどんな手続きで、どんなものが必要かご存知でしょうか。

というのも保険会社や契約の内容によって必要な書類、対応は異なるため場合によっては思わぬトラブルになることもあります。
事前に知っておくことで対策が出来ますので、本記事をお読みいただきご不明な点があれば担当の保険営業マンへご相談ください。
これを機会にご自身の契約についての理解を深めるとともに、見直しの一助になれば幸いです。

今回は死亡保険金の受け取り手続きについて解説します。

●死亡保険金受け取りの流れ●

被保険者がお亡くなりになったら、保険金の受取人から担当の方へ連絡しましょう。
その保険会社(代理店)で契約している保険契約があれば、請求書類をすべてまとめて用意してくれるはずです。

1人の保険営業マンから加入しているなら良いですが、複数の方からご加入されている場合はそれぞれに連絡が必要になります。
普段から保険契約は整理しておき、万一の際の連絡先が分かるようにしておくと良いでしょう。

営業担当が退社している、あるいは分からない場合は、通帳の引き落とし履歴や郵便物から特定し、直接保険会社に電話しても問題ありません。

保険会社により異なりますが、保険金の請求時に受取人が準備するものは主に以下3点です。

1.死亡診断書(死体検案書)のコピー
2.保険金受取人の本人確認書類コピー
3.受取人の印鑑証明書(不要な会社もある)

保険金額や契約内容、保険会社によっては実印の押印に加え3が必要なケースもありますし、本来の受取人が先に亡くなっている場合は戸籍が必要なケースもありますので保険会社に確認してみましょう。

●困るケース1 前妻(夫)との子を受取人にしている●

例えば夫が前妻との間の子Aを保険金受取人にしていた場合はどうでしょうか。子Aが保険金請求するためには現在の妻B、あるいは子Cから死亡診断書を取得する必要があります。

夫が生前そのことを妻Bにお伝えしていればよいですが、もし子Aが妻B、子Cと交流がない、あるいは仲が悪い場合は手続きの難易度があがります。

保険契約自体は受取人の氏名と生年月日さえ分かれば出来ますが、受け取るときのことまで想定していない方がほとんどです。家族に伝えたうえでエンディングノートに記載しておくなど、事前準備が重要です。

●困るケース2 保険金受取人が複数である保険契約●


一般的には1つの保険契約には保険金受取人が1名であることが多いです。
しかし、1つの契約で保険金受取人を
2名以上に指定されていることもあります。


例えば保険金1,000万円の生命保険の受取人が長男、次男の2名で、割合は半分ずつというケースを考えます。

これなら500万円ずつ2口加入すればよさそうですが、手続きが2口分となり煩雑になること、保険証券の管理のしやすさ、一定額以上の保険金額であれば割引がきくなど様々なケースから、現場では1つの契約で複数名の保険金受取人を設定するケースがあります。この場合の受け取り手続きについて、保険会社によって大きく2つの対応に分かれます。

①受取人間で長男、次男のどちらか1名を代表に決定してもらい、代表にまとめて支払う。その後受取人間で分割してもらう。ゆえに、長男と次男の両方の必要書類(本人確認書類、実印、印鑑証明)が揃わないと支払いができない。

※事情を説明すれば②同様個別に請求可能な保険会社もあるが、出来ない保険会社もある。

②長男、次男それぞれが単独で請求可能。長男分が揃えば先に長男へ支払う。

①の場合、相続人間でトラブルがあった場合や仲が悪い場合、受取人の1名が海外など遠方にいる場合は支払いが大幅に遅れる可能性があります。生命保険の特徴の一つに「すぐに現金化できる」ことが挙げられますが、これでは本末転倒です。

このようなケースが事前に想定される場合はまず保険会社に受け取り手続きを確認したうえで、場合によっては生命保険の受取人を見直す、あるいは契約の形態を見直した方が良いでしょう。

●おわりに●

生命保険の目的は、死亡時に受取人に確実に保険金をお届けすることです。

また生命保険は大切な家族への「ラストラブレター」であるとも言われます。そんな大切な想いの詰まった生命保険だからこそ、きちんと準備しておきたいですよね。

今回のケースは事前に確認をしておくだけで、ご遺族の手続きはずいぶんと楽になります。それを出来るのは契約者だけです。家族のために一度保険の見直しをしてみませんか。

福本 知輝(ふくもと ともき) 

寺院コンサルタント
2級ファイナンシャルプランニング技能士
相続診断士 笑顔相続道正会員
終活カウンセラー1級

西日本を中心に寺院向けの生命保険、資産運用のご提案、檀信徒さま向けの相続相談業務を行っています。お寺ならではのお悩みに寄り添い、解決するお手伝いを致します。

【問い合わせ先】
Mail  t_fukumoto@trust72.jp