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大規模災害に備える火災保険~大切な家を守る「火災保険」のチェックも終活のひとつです~

公開日:2023-07-17 06:00

目次

ここ近年、毎年のようにニュースになる大規模な自然災害。

地震、台風、豪雨・・・。

長年暮らしてきた大切な家や思い出の品が、さらには人命までも奪う数十年に一度といわれるような災害が毎年のように起こり、甚大な被害をもたらしています。

そんな自然災害の被害による損害を補償する火災保険。

この機会に火災保険の自然災害の補償内容やその他の補償を知ることにより、加入している火災保険の契約内容を、万一、未加入の場合は火災保険商品選択のポイントをチェックしてみましょう。

■火災保険の補償は「火災」だけではありません■

「火災保険」という名前の保険のため、補償は火災だけと考えている方も少なくありませんが、じつは幅広く補償されます。

まず、火災保険の基本補償となるのが、火災(消火活動による水濡れ被害含む)・落雷・破裂・爆発・風災・雹災・雪災です。(注)一部、補償対象外にできる場合もあります。

さらに、

・水害

・建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など漏水による水濡れ、騒擾・集団行動等に伴う暴力行為、盗難による盗取・損傷・汚損

・不測かつ突発的な事故

などを選んで付けることができ、広範囲にわたる補償をセットできます。

また、地震による倒壊や地震が原因の火災は、地震保険の加入がないと補償の対象にはなりません。

保険の対象は「建物」と「家財」などです。家財として建物とは別に保険金額を設定して加入しないと、電化製品や家具などの家財道具の補償はありません。

■自然災害による被害の補償内容に注目■

総務省消防庁 災害情報一覧https://www.fdma.go.jp/disaster/info/にあるように、甚大な被害を及ぼす大規模災害の発生頻度が年々増加しています。火災保険の加入時期や内容によって支払い金額に差がでることをご存じでしょうか?

  • )台風による被害の修理代金が18万円の場合。

A保険・・・・・支払い保険金 ゼロ

B保険・・・・・支払い保険金 18万円

A保険は、20万円未満の損害は支払われないという保険商品のためです。

  • )集中豪雨による床上浸水の被害額が300万円場合

A保険・・・・・支払い保険金 100万円

B保険・・・・・支払い保険金 300万円

A保険は、床上浸水による損害額が保険金額の15%未満の場合、保険金額の5%(1事故につき100万円限度)の支払いとなる保険商品のためです。

支払い要件や支払い金額が商品によって異なります。

A保険は、住宅火災保険や住宅総合保険などの従来の商品で、住宅ローンの返済期間に合わせて加入した長期火災保険の場合、多くが該当します。

■自然災害を口実にした便乗商法と思われる勧誘にご注意■

自然災害による住宅の損害は、多くの場合、火災保険で補償されますが、建物の老朽化や自然消耗によって生じた損害は支払いの対象になりません。

たとえば、屋根の修理が保険金でできるといい、

・支払われた損害保険金の中から多額の手数料を請求される

・修理工事を急いで契約させ、修理代金の支払いもさせたが、調査の結果、老朽化が原因のため保険金は支払われなかったにも関わらず、修理代金の返金は認められなかった

・わざと屋根を破壊して工事をする

などの悪質な住宅修理業者や保険金請求代行業者が高齢者を狙っています。

<参考>

消費者庁 災害関連情報 https://www.caa.go.jp/disaster/#202007

日本損害保険協会ホームページ https://www.sonpo.or.jp/news/caution/syuri.html

保険金不正請求ホットライン 0120-271-824

■3つのチェックポイント■

お住まいの住所のハザードマップでリスク度を確認しましょう。

いざというとき、こんなはずじゃなかった!とならないように、お手持ちの火災保険証券(共済証書)で、次の3つをチェックしてみましょう。

<Check1>風災・雹災・雪災による損害を受けた場合、損害額が20万円未満でも補償されますか?

損害額が20万円未満の場合、全額自己負担となる契約があります。

<Check2>水災の損害保険金のお支払額は「制限なし」になっていますか?

床上浸水などの被害で、損害額が保険価額の30%未満の場合、支払限度額がある契約があります。また、30%以上の場合でも支払いの上限が70%となる契約があります。

<Check3>地震保険に加入していますか?

ひとつでも「いいえ」や「不明」がある場合は、必ず、保険のプロに相談しましょう。

■まとめ■

高齢者は火災保険のパンフレット、保険見積書、保険申込書(契約書)、保険証券、約款などの多くの書類を見て理解することも困難になってくるものです。

お近くの親族の方や信頼できる保険のプロ、相続診断士・終活カウンセラーなどに相談・チェックやアドバイスを依頼するのも、いまできる終活の一環だと思います。

岩井 真紀子(いわい まきこ)

株式会社 みらいふ 常務取締役
京都相続診断士会 事務局

相続診断士
終活カウンセラー

笑顔相続道正会員
ファイナンシャルプランナー
損害保険トータルプランナー
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)
昭和61年から保険業に携わり、損害保険・生命保険の取り扱いや事故解決のアドバイスをしている。
また、数々のライフプランセミナーやエンディングノートの書き方セミナー講師をつとめる実績をもち、最近は、おひとりさまの終活・相続のコンサルティングに力を注いでいる。