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家族で始める終活~絆を深めるエンディングノート~

公開日:2023-05-29 06:00

目次

はじめに

最近よく聞くようになった『終活』という言葉。

気にはなっているけれど、まだまだ早いかな。そもそも、何から手を付けたらよいのかわからない、といった方も多いのではないでしょうか。

筆者は、働き盛りの方のライフプランのご相談を受ける中で、お客様からご両親の介護や相続についてご相談されることがよくあります。

「遺言書をつくっておいてほしいんだけど、どう切り出していいかわからない。」

「もし介護になったらという話をしたら嫌な顔をされた。」

現役世代にとって、終活は「親がするもの。」
介護や相続のときに自分たちが困らないようにしておいてほしい、と思ってしまうようです。仕事も日々の生活も忙しく、中には教育費や住宅ローンなど目の前のお金の心配ごとで手一杯なこともあるかもしれません。

ただ、最期を迎えるのがいつなのかは誰にもわかりません。親も自分も子も。終活は始めるのにまだ早すぎるということはないのです。

1 似て非なる言葉3種 ~遺書・遺言・エンディングノート~

親に『遺言」と言ったら「まだ死ぬつもりはない!」と怒られたといった話を聞いたことはありませんか?ひょっとすると、「遺書を書いて」と言われたように勘違いしたのかもしれませんね。

『遺書」は死期を前にして、最期の想いや感謝の気持ちなどを伝えるために書くもの。

一方、『遺言」は自分の死後の財産の分け方などを民法の形式に従って書いておくもので法的な効力があります。日本財団の遺言に関する調査によれば、遺言書作成の目的は「相続対策のため」が圧倒的に多く、作成した時期は60歳以下の現役世代が55.5%と半数以上を占めています。意外でしたか?

うちはお金持ちじゃないから大丈夫、分ける財産もたかが知れてる、とお思いの方は要注意です。実は、相続について話し合いではまとまらずに裁判所に持ち込まれる相談は、5,000万以下の財産でのもめごとが75%以上を占めているのです。他人事ではありませんね。

では、『エンディングノート」とはなんでしょうか?これには、法的な効力はありません。

形式も自由ですし、何を書くのかも自由です。相続する財産のことだけでなく、お葬式のこと、介護や延命治療について、或いは好きな食べ物や学生時代の思い出などを自由に綴って構いません。

2 エンディングノートの目的

法的な効力もないのに、エンディングノートを書く意味はあるのでしょうか?

筆者は、エンディングノートとは『家族への連絡帳」だと思っています。いずれ最期を迎えるときに笑顔で相続できるように。また、人生のエンディングを考えるということは、人生の棚卸しでもあり、これまでの人生を振り返り、自分を見つめ、今をよりよく自分らしく生きることに繋がると信じています。

今回は、実際にエンディングノートを書かれたご一家のお話を紹介したいと思います。

3 家族みんなで「エンディングノート」

四人家族のA様(50代女性)とは10年来のお付き合い。80代のお父様がお亡くなりになり相続手続きのサポートをしました。「すべてお前に任せる」と言われていた一人っ子のA
様は、葬儀やお墓、不動産の手続きをしながら、娘二人にすべてを任せるのは負担だなと思ったそう。そこで、エンディングノートを書くことにしました。嫁いだ長女を除く、ご夫婦と次女の三人で賑やかに。

「お墓は海洋散骨にしたい。」と奥様。
「じゃあ、僕も。」とご主人様。
「え?お墓参りはどうするの?」と次女。
「手元供養というのがあるから、それでお願いね。」と奥様。続けて
「おじいちゃんのお家とこの家、どっちかに住みたい?」
「いらない。」
「じゃあ、お父さんがリタイアしたら、二人でお隣同士のマンション買おうかな。」
「もしも認知症になったら・・・」などと三人で笑いながら。
「そうなる前に家族で旅行しておきたいね。」

後日談で、初孫を連れて帰省した長女も同じノートで書いていくことにした、と聞いております。

4 終活の意味

筆者は、『終活」とは、これまでの人生の振り返りをしながら、これからの人生をどう楽しんでいくかの計画だと考えています。エンディングノートを書くというのは、自分自身のルーツを知ることにもなり、ご先祖様から自分、子へ、孫へ、と想いを繋いでいくことになります。それが、相続対策として遺言書を書くきっかけにもなるかもしれません。

ご両親に遺言やエンディングノートを書いてもらいたいと思ったら、まずは自分が書いてみることをお勧めします。まだ十歳の小学生でも百歳を迎えたおばあちゃんでも書いてよいのです。いつ訪れるかわからない自分の最期を自分らしく迎えるために準備しておくことは、今をよりよく自分らしく生きていくことに、ひいては、家族の絆を深めることにもつながります。家族の絆を深め、これから先の夢を叶えるためのライフプランを作成していきましょう。

取り組み方・書き方に不安のある方は、『エンディングノートの書き方セミナー』をご活用ください。

エンディングノートは様々なタイプのものが市販されていますので、どれを使っても構いません。セミナーでは、笑顔相続サロン®代表の一橋香織著、日本法令®から出版されている「終活・相続の便利帖」(写真)を使用しております。

記入部分だけでなく、相続の周辺知識も習得できるつくりになっていて、おすすめです。

金田 京子(かねだ きょうこ)

ファイナンシャル・プランナー
ライフプランニングや家計の見直しなどを中心に1万件を超える個別相談に携わり、
金融教育インストラクター、セミナー講師としても活動。
法律事務所・金融機関勤務での経験や知識を活かしながら、
専門用語を使わずにわかりやすい言葉で、世代間をつなぐ相続・終活コンサルティングをおこなっております。

【保有資格】

2級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)
相続診断士® 笑顔相続道正会員
2級終活カウンセラー®
トータルライフコンサルタント(生命保険協会認定FP)


【問い合わせ先】

Mail: kyoko.kaneda.rk@gmail.com