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お墓と相続

公開日:2023-05-22 06:00

目次

はじめに

「お墓はいったい誰のもの?」様々な答えはあるのですが、どれも正解であり筆者と同じ石材店主でも様々な答えが返ってきます。筆者は「向き合う人のためにある」と感じていますが、これがいざ相続となると、誰のものか特定しなければなりません

1、相続とお墓のトラブル

お墓の所有者(この後は施主と表記)が亡くなると、次の施主が必要となります。以前は「長男が継承するのが当たり前」という時代もありました。しかし現代では「長男が離れて暮らしている」「男子がいない」「長男が結婚していない」等、様々な理由で長男が継承することができないことがあります。きょうだいが継承する、特に近くに住む娘が継承するということも当たり前となってきています。
そういった事情から近頃は継承時、つまりお墓の相続トラブルなども起こるようになりました。誰も継承したくないといった押し付け合いが起こることもあります。

お墓は「祭祀(さいし)財産」という扱いで原則非課税ですが、継承すれば墓地管理費や維持費などが必要となります。
「お墓はいらない!」一番近いはずであった人たちの押し付け合いは、それ以外のお墓に入る故人と向き合いたい人たちにとっては、時に大きな問題となります。「直接お会いしたことはないが私たちのご先祖様だから」と二代三代前のご親戚がお参りに来ていることもあります。実際には費用負担などしていない人が大切な向き合う場所としていることもあり、複雑な部分があります。

2、お墓の費用だれが負担すべき

お墓の費用は、実際にはその家の当主が代々負担してきました。ですが先に述べたような事情により長男がという時代ではなくなっています。今、守っている人が次代の人としっかり話し合いを持ち誰が守り負担すべきか、そしてお墓に関わる財産(費用)負担を含めた相続をするのかを、生前に家族内でよく話し合っていくことが大切であると言えます。いざという時の押し付け合いにしないために。

3、お墓を守るための相続対策

お墓の相続の対策は遺言書に残すことも一つの対策となります。ただし遺言書があるということと、お墓のことは相続人に先に伝えておくことが無難だと言えます。もしくは相続人に該当する方々で話し合いを持つことがよいでしょう。
お墓の管理費や維持費用など、また施工した会社など分かっている情報は生前にしっかりと伝えていくことも大切な対策となります。実際に家族の中でお墓に関わってきた人が一人で急に亡くなると、お墓に関する情報が全く分からなくなっているご家族を時折見かけます。ご先祖様ですから関りがないことではないので、ご家族で共有することが大切です。

4、お墓を継ぐことの意味

先祖を敬い、尊重するためにお墓は建てられてきました。またご先祖様を知ることで家族の絆の継承という意味もあります。
自分自身のルーツを知ることも、古いお墓であれば可能であることを鑑みると、後世に伝えるべき価値のあるものを継承しているともいえるでしょう。

相続の見地から考えると、「お墓は心(絆)の相続」であると言えます。

お墓の管理費や維持費用など、また施工した会社など分かっている情報は生前にしっかりと伝えていくことも大事な対策となります。もしお墓をなくさなければならないのであれば家系図の作成などもお薦めします。先達がいなければ今の私たちの命はないのですから。

お墓を継ぐことは自分自身の命が今あることを確認する場所と筆者は考えています。

大橋 理宏 (おおはし まさひろ)

株式会社大橋石材店 代表取締役 石材加工一級技能士
お墓のみとりⓇグループ 代表
墓デミー賞実行委員長
笑顔相続道正会員
「令和版墓じまい改葬ハンドブック」(主婦の友社)
日本石材工業新聞にてコラム連載
他、雑誌など取材多数

お墓に関わる悩み困りごとにお答えします。

【お問い合わせ先】

株式会社 大橋石材店
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Mail: mailadm@ohashi-sekizai.jp