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人生を充実させる僧侶との関係作り

公開日:2023-05-15 06:00

目次

●はじめに

家族が亡くなった時に、まずしなければいけないのが役所への死亡届の届出。
そして次に、お葬式の準備です。

どの葬儀社を選ぶのか、近親者だけの家族葬にするのか、ご縁がある人にも参列してもらう一般葬にするのかなど、決めなければいけないことが沢山あります

僧侶でもある筆者が葬儀社の方に、ご遺族が葬儀にあたって何に悩まれているか聞くと、どこのお寺にお願いするかという問題が多いと聞きます。先祖代々の菩提寺や以前から関係ができているお寺があれば、すぐにお願いできますが、菩提寺が遠方にあったり、そもそもご自身がどの宗派の檀家だったのかわからず途方に暮れる方が多いそうです。

●どんな僧侶が来るかわからない

近隣に親しくしているお寺がなければ、葬儀社と提携しているお寺にお願いすることもできます。

その場合、お寺の宗派についての希望は聞いてもらうことができますが、お葬式の日程に都合がつくお寺にお願いするため、どのお寺にするかは選ぶことができません。また、今までお付き合いもないので、どのような僧侶が来られるかもわかりません。

もちろん、どの宗派も僧侶や住職になるにあたっての基準が設けられ、それを満たした方が務められるので、儀式執行は問題なく行われます。

ただ、僧侶が法要の意味について何の説明もされず淡々と執行されたり、専門用語ばかりの法話をされたりして、ご遺族が意味もわからないまま、その場に座るだけになってしまっている様子をしばしば見ました。

僧侶の側に改善すべき点もありますが、葬儀社に依頼されたお寺の場合、通夜の席で初めてご遺族とお会いすることがほとんどです。

したがって、故人の人となりや参列されているご遺族との関係をお尋ねする時間がないため、儀式を淡々と執り行うか、一般的な内容の法話しかできないのです。

●お葬式のためでなく人生を充実させるために

葬式仏教」という言葉もありますが、本来、仏教は死者を弔うための宗教ではなく、生前の欲望や苦しみから解放され、人生を充実したものにするための教えです。

お葬式のための僧侶を探すのではなくて、充実した人生を送るための僧侶と出会い、教えを学んでみてください。

仏教の教えを学ぶ方法としては、本を読む、カルチャースクールに行く、講演会や法話会に参加する、など色々な方法があります。ただ読書のように自分一人だけで学ぶと、教えを自己流に解釈しがちですし、カルチャースクールや講演会では大勢に向けて話されるため、自分の悩みに寄り添った話がされるかはわかりません。

おすすめは法話会や寺院主催の学習会です。多くの場合、法話の後に質問の時間がしっかり取られているので、自分の悩みを絡めながら質問することができます。講座によっては、参加者による座談の時間が設けられていて、周りの人の悩みを聞いたり、自分の悩みについて周りの方がどう受けとめられるのか聞くことができます。

ただ、本にせよ法話会にせよ、僧侶が所属する宗派によって教えが異なりますし、僧侶一人一人の人生観や話し方の技術もありますから、沢山の僧侶のお話を聞いてみることをおすすめします。

●自分の悩みに応えてくれる僧侶と出会うための方法

では、具体的にどのようにして色々な僧侶と出会えばよいのでしょうか。筆者から三つの方法を提案します。

◎近隣のお寺を訪ねる

今お住まいの近くにあるお寺を訪ねて、そこのご住職や僧侶とお話してみましょう。突然の訪問は相手も困惑しますし、こちらも何をどう話していいかわからない、ということもあるでしょうから、まずは彼岸会(※注1)や永代経(※注2)などの年中行事にお参りさせていただきましょう。法要の雰囲気やご住職の様子がわかります。法話が行われていれば、どんな内容を話されるのか、自分にとって聞きやすい話し方をされるか実際に体験することができます。

◎法話会、学習会に参加する

お寺や集会施設を使って、一般の方も参加できる法話会や学習会が多数開かれています。

どこで開催されているか調べるのはインターネットの検索が便利です。最近はとりまとめサイトも作られており、筆者は「浄土真宗の法話案内」(http://shinshuhouwa.info)をよく利用します。こちらのサイトでは、日時・会場・講師名などから検索することもできます。

◎本やYouTubeで発信されている僧侶に連絡する

近年、活動的な僧侶を紹介した本や、僧侶自身が書いた本が多く書店に並んでいます。またYouTubeで発信している僧侶も増えました。本やYouTubeで、その教えや伝え方に共感できる僧侶がいらっしゃれば、連絡を取って手紙やメールのやり取りをしてみましょう。

その僧侶ご自身と継続的な交流ができることもありますし、同じように活動されている方や考え方が似ている近隣の僧侶をご紹介いただけることもあります。

●おわりに

今やお葬式や年忌法要の場でしか出会わなくなってしまった僧侶は、人生の最期を看とるだけでなく、生前の皆さんお一人お一人の人生が充実することを願っています。

僧侶や教えと出遇ったことでご自身の人生が充実した方は、その喜びを自分のものだけにすることなく、次の世代やご縁がある方々にお伝えいただきたいと思います。ご自身が亡くなって大勢の方が集まるお葬式に、その僧侶からの教えを伝える機会を作ることもまた「相続」ではないでしょうか。

※注1 永代経・・・永代読経または永代祠堂経の略で、子や孫以降も永代に渡ってお寺や仏法が続くようにと、亡き方を縁として懇志を出されたことやきっかけとなった故人に感謝する法要です。永代供養とは異なります。

※注2 彼岸会・・・春と秋の彼岸期間中に行われる法要です。春分の日と秋分の日をそれぞれ中日とし前後3日間を合わせた7日間が彼岸です。特に中日の春分の日と秋分の日に彼岸会として法要が行われることが多いです。

吉武 学(よしたけ まなぶ)

2022年行政書士事務所を開所
饗庭山法泉寺(真宗大谷派)住職
一般社団法人相続診断士協会パートナー事務所
相続診断士
笑顔相続道正会員

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