カテゴリー検索

空き家に潜むリスク~親から相続した実家は大丈夫?~

公開日:2023-04-10 06:16

目次

はじめに

京都市において、「空き家税」(正式名称「非居住住宅利活用促進税」)が2026年度めどに全国初で導入されるという話題が大きなニュースになるなど、空き家の問題が世間を騒がせ続けています。

老朽化した荒れ果てた空き家や人が出入りしない建物にどのようなリスクがあるのか、検証してみましょう。

空き家とは?

国土交通省が、

建築物又はこれに附属する工作物であって 居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの 及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)を いう とし、概ね1年以上利用の実態がない住宅と定義しています。

相続により取得した実家や転勤などにより誰も住んでいない建物や賃貸アパートの空室なども空き家にあたります。

とくに、昨今、問題視され困った空き家といわれる空き家が、特定空家等と定められています。

特定空家とは

 ① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
 ② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
 ③ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
 ④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にある空家

等をいいます。

(空家等対策の推進に関する特別措置法2条2項)

空き家に潜むリスクとは?

このような「特定空家等」の場合、どのようなリスクがあるのでしょう?

倒壊などの危険がある場合

ちょっとした風雨や地震でも倒壊する可能性があるため、近隣の敷地や建物、通行人などに被害を与える可能性があります。

衛生上、景観上、生活環境上、有害となる恐れのある状態

空き家は人の目が届かず、周囲に枯れ木や紙ごみが放置された状態となり、また、不審者が侵入しやすいこともあり、放火される危険性が高まります。

また、荒れ果てた状態の建物となった場合、野生動物が住みつくことによる糞尿被害、これは周囲に悪臭を放ち、部材の腐敗も招きます。

さらに、こういった状態は景観を損ない、治安の悪化や不動産価格の低下を招きます。

空き家に火災保険は必要?

空き家にも火災保険は必要です、というのが筆者の考えです。

なぜなら、すでに述べたように放火されるリスクが高いうえ、誰も居住していない建物のため火災を発見できなかったり、発見が遅れることにより、ぼやのうちに消し止めることもできず、大きな損害になる可能性が高くなります。

さらに、管理が行き届かないことも多く、給排水管からの水漏れや台風による被害が考えられます。

もともと住んでおらず、これからも住むようになる可能性が低い家の場合、「建て替えや修繕をする必要がない」から火災保険は不要と考える方もいるでしょう。

そのような場合、全壊ならまだしも、一部損害、たとえば、台風で屋根が飛んだなどの被害を受けた場合、放置しておくとさらに被害を拡大させるリスクがあり、近隣住民からの苦情も招くことになります。

一般的な火災保険は、通常、火災・落雷・破裂・爆発や台風など風災・ひょう災・雪災などの損害を補償し、付随する費用保険金があります。

燃え殻処分や取り壊し費用は案外、高額となります。それを火災保険の費用保険金である「残存物取片付け費用」でカバーすることができます。

空き家に掛ける火災保険の種類は、どのような状態の空き家であるかで大きく分けて2つの物件種別(一般物件・住宅物件)により決まります。概ね、住宅物件に比べ一般物件のほうが保険料(掛け金)が高額となる場合が多く見受けられます。

では、どのように判定するのでしょうか?

一般物件となる具体例】

・今後も居住する予定の全くない建物

・以前は住居として使用されており、家財が残っているが、現在は住居として使用されず今後も居住する予定の全くない建物

・建売業者が所有している専用住宅として売却する建物
・転勤等の理由で、現在利用されておらず、また今後も住居として利用するか、決まっていない建物

住宅物件となる具体例】

・季節的に住居として使用される建物(例:別荘)で、家財が常時備えられている場合

・すべての戸室が住居の共同住宅を引き受ける場合などで、居住者の移転のために一時的に1戸室が空室となった建物

・出張や転勤等に伴って一時的に空き家となっている(住居として賃貸入居者の募集を行っている、または将来所有者が自ら居住する予定である等)建物(家財以外の動産が常時収容される建物は除きます。)(注)

(注)空き家が一時的なものであり、今後も引き続いて住宅として使用されることが予定される物件が前提です。

空き家の火災保険の引き受けは、保険会社によっては不可としている場合もあり、また、老朽化により朽ちたような建物の場合はいかにもリスクが高く、断られたり、建物価額の評価が不能となり、結果、引き受けられなかったりが考えられます。

空き家の賠償請求に備える

空き家の管理不行き届きが原因で近隣に被害が及んだ場合、空き家の所有者は賠償請求を受けることがあります。

火災

一般的な失火の場合、「失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)」により、所有している建物から近隣の建物に類焼した場合でも原則として賠償義務を負わないというものです。

逆にいえば、近隣からの類焼でも請求できないということです。

ただし、重過失の場合はこの限りではなく、賠償義務が発生することがあります。

台風などの自然災害、老朽化した水道管の破裂亀裂など

民法第717条で、土地の工作物等の占有者及び所有者の責任を規定しています。

老朽化を放置したために台風により近隣に物が飛んで行った、分譲マンション専有部分の水道管から水漏れし、階下を水浸しにした、などで管理責任を問われることがあります。

建物を所有・使用・管理することに起因する賠償を補償する保険としては【個人賠償保険】または【施設賠償責任保険】があげられます。

個人賠償責任保険(または、個人賠償責任補償特約)で補償の対象となる「住宅」とは、居住している住宅をいい、空き家は住宅に該当しませんので保険対象外となります。

それでは、施設賠償責任保険はどうでしょうか?

個人が所有している空き家を引受不可としている保険会社が多いのが現状です。

結論として、個人が所有する空き家には賠償保険を掛けることができない場合が多く、悩ましいところです。

まとめ

思い起こしてみてください。

空き家も、もともとは家族が集うあたたかな家だったはず。
少子高齢社会で引き継ぐ人のいない不動産がますます増えていくことでしょう。

困った空き家にしないための対策も大切な終活ではないでしょうか。

岩井 真紀子(いわい まきこ)

株式会社 みらいふ
https://www.k-milife.co.jp/
常務取締役

京都相続診断士会 事務局
社会整理士育成協会 事務局

相続診断士
終活カウンセラー
ファイナンシャルプランナー
損害保険トータルプランナー
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)
京都市内で昭和61年から保険業に携わり、損害保険・生命保険の取り扱いや事故解決のアドバイスをしている。

また、数々のライフプランセミナーやエンディングノートの書き方セミナー講師をつとめる実績をもち、最近は、おひとりさまの終活・相続のコンサルティングに力を注いでいる。