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遺言書作成時に考えておく遺言執行者の役割

公開日:2023-03-27 06:00

目次

はじめに

遺言書作成を考えたときに「遺言執行者」という言葉を見聞きするかと思います。

遺言執行者について選任の有無は自由ですが、なぜ遺言執行者を選任したほうがよいのか、またその役割や選任が必要な場合、だれを選ぶといいかについてまとめています。

1.遺言執行者の選任は必要なのか?

絶対に必要な場合を除いて遺言執行者の選任は自由です。しかし遺言執行者がいない場合は、相続手続きに相続人全員の同意や協力が必要な場合もあります。

1-1遺言執行者とは

その名のとおり遺言書に書かれた故人の意思を実現するために、法律的に義務や権限を与えられていて、遺言の内容に基づいた相続手続きを進めていく人です。

1-2遺言執行者を選任する3つのメリット

・遺産管理の義務があるので、相続人が勝手に金銭の持ち出しや不動産の売却ができなくなる

・他の相続人の同意を得ることなく手続きをおこなえるので、遺言内容の実現がスムーズに進む

・第三者の専門家に依頼することで、複雑な手続きで残された相続人に負担をかけなくてよい

2.遺言執行者しかできないこと

遺言に定める内容には、遺言執行者にしかできないこともあります。

絶対に遺言執行者の選任が必要な場合と、選任していると遺言執行者しかできない場合があります。

絶対に必要な場合に遺言書で遺言執行者が指定されていないと、相続人などが家庭裁判所に申立てて選任してもらう必要があります。

2-1子の認知

遺言による認知の場合は、遺言執行者しか手続きができません。

認知とは、婚姻関係にない男女間に生まれた子を、自分の子であると認める行為です。

認知されると「子」として認められ、相続人として遺産を受取ることができます。

2-2相続人の廃除・廃除の取消し

遺言によって相続人の廃除、または廃除の取消しをする場合に、家庭裁判所に申立てをできるのは遺言執行者に限られます。

相続人廃除とは、遺言者に対して虐待・侮辱・著しい非行などを行った人がいる場合に、遺言者の意思によって、相続人としての権利を失わせる制度です。

2-3遺言で一般財団法人を設立する場合

遺言で一般財団法人設立の意思表示をし、定款に記載すべき内容を定めて、遺言執行者が遺言内容の実現を行うことが記載されています。(一般財団法人及び一般財団法人に関する法律第152条2項)

2-4選任されていると遺言執行者しかできない場合

不動産について、相続人や相続人以外に遺贈する場合の登記は、受遺者(もらう者)と相続人全員との共同申請が必要になります。

その場合に、遺言執行者が選任されているのであれば、遺言執行者しか登記手続ができません。(民法1012条2項)相続法改正によりこの点は注意が必要です。なお、遺言執行者がいない場合は相続人が登記手続をします。

3.遺言執行者の義務と権限

遺言執行者の業務を行う義務とは具体的になにを行うのか、そのためにどのような権限があるのか、遺言執行者の役割を知ることで、選任の必要性を考えます。

3-1義務

・相続人の調査

・相続人に遺言執行者に就任したことを知らせる

・相続財産目録の作成および相続人全員へ交付

・遺言内容の実現のための手続き

・相続人への財産引き渡し業務完了の報告

3-2権限

遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する、と定められています。(民法第1012条第1項)これは、遺言内容を実現するために、相続人に勝手に処分されないように相続財産の管理をし、必要な各種手続きを遺言執行者として行える権限です。

また、遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示した行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。(民法1015条) と相続人の代理人ではなく独立した立場であることを明確にしています。

4.遺言執行者には誰を選ぶとよいか


4-1遺言執行者になれない人

遺言書の効力が発生する遺言者の死亡時に、未成年者と破産者である者は、遺言執行者になれません。(民法第1009条) 

4-2遺言執行者になれる人

遺言執行者に特別な資格はなく、先に述べた遺言執行者になれない人以外は誰でもなれます。

遺言執行者は就任しても相続人の利害に関係しないので相続人でも可能です。第三者として専門家(弁護士・税理士・司法書士・行政書士など)に依頼することもできます。

また、個人だけでなく士業の法人や信託銀行などの法人も遺言執行者に就任できます。

1人でも複数人を選任することもできますので、それぞれに全ての職務権限を与えることもできますし、職務権限をそれぞれ分けることも可能とされています。 

4-3誰を遺言執行者に選べばよいのか

相続人が遺言執行者の場合、業務には専門的な手続きもあり、相続財産の量や内容によっては手間と時間が膨大にかかる場合があります。しかも、手続きの窓口は平日しか対応していないなど、働いている方は負担がかかります。

そのような場合には、相続人以外の専門家を指定することで、相続人の負担をなくすことができます。

専門家へ依頼することで、相続人への適切な説明も行ってもらえ、透明性のある手続きができるので他の相続人から不信感を抱かれることもなく、安心して任せることができます。

最後に

遺言執行者にだれを選任するかはそれぞれですが、相続人が複数人いる、または高齢、相続財産が多岐に渡る場合など、遺言の内容を実現するためには、権限で手続きをスムーズに進めることのできる遺言執行者を選任することが良いと考えられます。

筆者プロフィール

行政書士上田静香事務所
https://www.su-souzoku.com/
代表 上田静香(うえだ しずか)

2013年行政書士事務所を開所
一般社団法人相続診断士協会パートナー事務所 相続診断士
笑顔相続道正会員
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