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円満な相続になる5つの遺言作成のポイント

公開日:2023-02-13 06:00

目次

遺言書を作成するキッカケは

財産の渡す先を自分で決めておきたい
残された家族に迷惑がかからないように
万が一のときに争わないように」という想いからです。

しかし、せっかく作った遺言書なのに、なかにはその想いが叶わない遺言もあります。
これから遺言書を作ってみようと思う人は、そうならないために配慮するポイントを押さえておいてください。

1.財産を貰う権利があると請求できる人の確認

相続人は財産を受取る権利のある人です、その中で遺言の内容に関係なく請求すれば一定割合分(遺留分)の財産を受取る権利のある人(遺留分権利者)を確認する必要があります。

この遺留分権利者とは兄弟姉妹以外の相続人になります。

たとえ法的には有効な遺言書でも、この一定の割合を無視して財産を極端な分け方にした場合に、分け方に不満がある権利者から一定割合を請求されると認められることになります。

財産を相続人に平等に分けることができればよいのですが、様々な事情により相続人の一人が多くなる場合もあります。

そして近年、相続人以外に財産を渡す(遺贈)ことも増えています。

偏った財産の分け方をする場合や相続人以外に渡すとしたときには、貰う権利のある人を考慮することが必要です。

2.不動産のように分割できないものは共有にしない

自宅の他に、大家となっている賃貸物件、先祖代々引継いで管理している山林など、土地や建物というのは、ケーキを切り分けるように簡単に分けることができません

例えば、平等にという思いから、最初は子2人に1/2ずつの共有持分で相続させた場合、どちらか一方が売却したくても共有者全員の合意が必要なので話し合いがまとまらない、というケースです。

そして、次の代への相続がおきたときには、それぞれの共有持分は相続人に引き継がれていくので、1つの不動産に何人もの持ち主(共有者)がいることになり、さらに権利関係が複雑になるということです。

3.遺言書の価値を保つ

過去に親族のトラブルに巻き込まれたり、銀行などで勧められたり、すでに遺言書を作成されていて、問題の無いように対策している人もいます。

しかし、その遺言書がかなり前に作成したものなら、今は状況が変化していて遺言の内容を変更しなければいけないこともあります。

専門家にお願いして作成したから安心と思い込んで、遺言書を一度も見返したことがなく、内容を覚えていないということの無いように、状況に変化が起きたときや、何もなくても年に一度、内容を確認することで、遺言書の価値が保たれます

また、自筆証書遺言を作成している場合は法的な効力を有しているかを専門家に確認してもらうことが重要です。

4.遺言書の存在を家族に伝えておく

遺言書というのは、たとえ法的に有効に作成しても一方的な意思表示になります。

残された相続人が、遺言書の存在や内容を知らされていない状況で遺言書が出てくると、遺言書の取扱いや、どんな内容が書いてあるのか不安で相続人は戸惑います

そして、故人の想いを聞いていない相続人には遺言内容に納得のいかないこともでてきます。

そういった場合、相続人全員が合意すると、遺言の内容と異なる遺産分割協議をおこなうことが可能になります。相続人の一人だけが遺言内容に不満を持ち他の相続人の合意を得られないと争いの原因になります。

「相続人の誰かに遺言書を書かされた」というトラブルにならないように、遺言書を作成したら、遺言書の存在や内容を相続人全員に伝えておくことが大切です。

5.遺言執行者を指定しておく

遺言執行者とは、相続人全員の代理人として、遺言書に書かれている内容を実現するための必要な一切の手続きをする人のことです。

相続人のうちの1人がなることもできますが、平日の時間を割かなければいけない、手続きが複雑、必要書類を集めることが大変、などの負担が大きくなります。

相続人が、働いている、遠方に住んでいる、高齢者、相続人同士が疎遠などの場合は、あらかじめ遺言執行者に第三者の専門家を指定することで解決できます。

また、相続人が勝手に財産を処分することを防ぐこともできます。

最後に

財産を平等に分けるということはたとえ、財産が現金だけであっても難しいことです。

また、家族の有りようはそれぞれ違います。

遺言書を作ろうと思われた人はみんな大切な家族のことを想って、笑顔で仲良くこれからの生活を送ってくれることを望んで作られたはずです。

そのために、遺言書の存在を伝えるだけでなく、生前に家族みんなに自分の想いを話す機会をつくることも大切です。

本人が直接話すことで、どうしても不平等になる財産の分け方の理由を将来の相続人が納得してくれるため、争いの可能性も少なくなります。

また、法的に効力はないですが、遺言書には「付言(ふげん)」という記載事項を付けることができます。

そこには、遺言書を作成した経緯や相続人への気持ちを綴ったメッセージを記載できますので、ぜひこの「付言」を活用していただくことをお勧めします。

【筆者プロフィール】

行政書士上田静香事務所 
https://www.su-souzoku.com/
代表 上田静香(うえだ しずか)

2013年行政書士事務所を開所
一般社団法人相続診断士協会パートナー事務所 相続診断士
笑顔相続道正会員
1. 健康である今、何も対策をしないと相続が起きた時にどんなリスクが起きるのか?を明確にして対策をお伝えします
2. 難しい法律用語を使わずにわかり易い言葉でご説明します
3. 忙しいクライアント様の手間を最小限にします

家族が争うことなく大切な毎日を笑顔で送る生前対策を提案し
悲しみの中で慣れない相続手続きをする大変さや不安を解消します。